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1月19日、JAXAは第三次選抜試験で使用した、相模原キャンパスの宇宙探査実験棟にある「宇宙探査フィールド」を公開しました。
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宇宙探査フィールドは、約400トンの砂や人工太陽光照明灯が設置されていて、月面をはじめとする天体の表面地形や照明環境を模擬できる施設です。2017年に運用が始まり、探査ロボットの試験などに使われています。
宇宙飛行士候補者の選抜試験には4127名の応募があり、2023年1月10日から行われている第三次選抜試験にはこれまでの試験に合格した10名が参加しています。
JAXAは、第三次選抜試験の一環で、受験者10名が3チームに分かれて探査ローバーを開発し、遠隔操作する「理学特性検査」と、模擬月面環境での体験を英語でプレゼンテーションする「面接試験」を実施したことを説明しました。
探査ローバー開発で宇宙飛行士に求められる資質を評価
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関門や障害物が設置されているのが確認できます Credit : JAXA
有人宇宙技術部門 宇宙飛行士運用技術ユニット 宇宙飛行士運用グループ 技術領域主幹の西川岳克(にしかわ・たかよし)さんによると、理学特性検査の目的は、実施中の行動観察です。コミュニケーションやリーダーシップ、状況認識、意思決定、問題解決、集団行動における業務遂行能力などを、宇宙飛行士の訓練に従事している専門家が評価したということです。
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「時間的な制約もあるので、全てではなく、走行させるためにポイントになるところを作っていただきました。(探査ローバーを)コントロールするときは別の部屋から行います。課題を与えて、それぞれグループワークとして、どういうふうにすれば課題がクリアできるかを考えながら準備していただきました」
また、宇宙探査フィールドでは、砂を吸い込むことでおこる健康被害を防止するために、受験者は防塵服やマスクを着用してミッションを行いました。
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(撮影:井上榛香)
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体験を世界に伝える発信力を評価する英語プレゼンテーション
面接試験は、試験のスケジュールの都合もあり、別室に移動して行われました。プレゼンテーションの時間は約5分。質疑応答も実施されました。評価者には、英語によるプレゼンテーションの専門家や英語を母国語とするひとも含まれていたということです。
「受験者があたかも月面に降りたかのような、滞在したかのような具体的なイメージを持ってもらうために、月面を模擬した砂場で模擬体験をしていただきました」
「今回の選抜で特に我々が重視しているのは、宇宙飛行を含む自らの経験、体験、成果を世界中の人々と共有する表現力、発信力で、これらを評価しております。第二次選抜までに英語の能力、それからプレゼンテーション能力を見ておりますが、第三次選抜では、相対的により優れた能力を持っている方を選べた出すために、今回、英語のプレゼンテーションという形で実施させていただきました」
アルテミス計画による有人月面着陸を意識した試験内容であることがわかります。
第三次選抜試験は2月上旬まで行われ、宇宙飛行士候補者は2月下旬に発表される予定です。