「本当に良い店はどこだ?」

巷にあふれる情報は不確かなものが多い。信じられる情報なのか、実は広告文句なのか?そもそも、「良い」の定義は人それぞれだ。

いっそのこと、より良いコトをみんなで教えあいながら、自分好みのものを探せたら良いのに。そんな考えから生まれたのが「sharefull」。

スペイン発のIT企業「sharefull」が開発、提供する世界初のGameFiと口コミを組み合わせた”食べて稼げる”サービスで、すでにアルファ版の配信が世界中で始まった。

アプリイメージ

より良いコトがより世の中に出るように

『リワードを通して、より良いコトが、世界をより良く。』というコンセプトを掲げるこのサービス。

実際に飲食店に足を運び、食事をした人がその店の口コミを投稿。そのレビューに貢献した人たちは報酬(リワード)としてゲーム内トークンが付与され、現金やその他ポイントに交換することができる。

sharefullの最大の特徴であるGameFiを活かし、報酬金額はユーザーがアプリ内で”食器”アイテムを購入することで上昇する仕組み。食器は他のユーザーと共有したり、販売することでトークンを得ることも可能だ。

さらに、”装飾品NFTアイテム”と呼ばれる、食器の能力を高めるアイテムを購入することで、より効率的にトークンを獲得できるようになる。例えば、バルセロナのお店を訪れないと得られないといったご当地限定アイテムも登場する予定で、Eat to Earn旅行を楽しむこともできる。

CEOの森岡逸平氏

これを仕掛けるのは、スペイン・マドリッドに本社をおく「Sharefull, S.L.」。

CEOは森岡逸平氏で、日本の大手IT企業・楽天でECコンサルタントとして延べ1,000社以上の東証一部上場企業から中小企業の小売企業の販売戦略に関わり、市場分析、商品企画、製造から配送までの各工程の立案、改善などに従事。最年少で部長職に抜擢された(2019年時点)。

その後、楽天モバイル事業部に異動し、基地局建設事業の部長として、部署の立て直し、工事工程の最適化、300人以上の部署メンバーをマネジメントしながら基地局建設の陣頭指揮をとった。

その森岡氏が現在の会社を立ち上げたきっかけの一つに、当時抱いた課題感があった。

「ネットでの人気商品やサービスは、本質的な商品の質が評価されるものももちろん多いのですが、プロモーションが上手な企業のものだったりするんです。フェイクレビュー問題もありましたし、数が増えてくると一企業がそのレビューの質を判断するにも限界がある。その反面、日本全国の支社を津々浦々見ていた中で、価値の高い商品やサービスの存在が見過ごされているなと感じていました。例えば、港町の蟹のおいしさを知れるだけでも、地方メーカーのタオルの肌触りを知るだけでも人生変わるのに、とか考えていましたね」。

また、森岡氏はMBA留学をきっかけに移住したスペイン・マドリッドに来てより思いを強くする。世界何十カ国の友人ができる一方で、友人から教えてもらった”おすすめのお店”が、自分にとってはイマイチだった経験もした。勧める人の文化や環境によって、”良い”や、”美味しい”の判断基準は違うことでのミスマッチも起こっていると感じるようになったという。

また、マドリッドで子どもの学校を探す際に、日本人にあった学校という軸での情報集めに苦労した経験も重なった。必要な情報が既存のプラットフォームにはそもそも落ちていなかったことと、誰に聞けば良いのかすら分からなかったからだ。

「自分にあったサービスを知りたいし、伝えたい」。

これが大きな動機となり、サービスローンチにつながった。

持続的なGameFiを実現し、ずっと使えるサービスを

より正確な情報収集、より良いものを世に出すにはどうしたら良いのか。ひらめいたのが、GameFiの活用だった。

sharefullが取り入れたGameFiとは、GameとFinanceを掛け合わせた造語で、ゲームとトークン報酬・ブロックチェーン技術を組み合わせたもの。ゲーム要素を取り入れながら報酬を集めることで、ユーザーのレビュー投稿へのモチベーションを高めることができ、レビューがよりたくさん集まる。レビューサイトとしての機能に磨きをかけるのが狙いだ。

これまでにも口コミ投稿で得たポイントを貯めて別のものに交換できるレビューサイトは存在したが、現金にも交換可能なサービスはまだ少なく、ゲームのようにやりこんでいく楽しさがあるものもないという。

一方、NFTやトークンについては暴落や短期的な投機目的のものが多い印象が拭えない。世界中で人気を博したNFTも、アメリカや中国の動きにより大暴落した例もある。ギャンブル性を指摘されることすらあるGameFi領域で、sharefullの提供するサービスは息の長いビジョンを描く。

「通常のNFTプロジェクトと違い、世界に数個しかない限定性や絵のデザインが綺麗だということを軸に売り出すのではなく、レビューを書くことで収益が還元される機能性の点が大きく違い、主観での価格の上下が起きにくい。他のGameFiとの違いは、アプリ外の実経済とつながり、収益を上げて、コミュニティ内に還元する予定である点です。例えば、sharefullで獲得できるトークンで支払いができたり、例えば、レストラン予約をしたら、お店側から成果報酬をもらうといったビジネスモデルを計画。導入は来年中を目指しています」。

このシステムを構築するために、sharefullには各国からのスペシャリストが集結した。ブロックチェーン業界の第一人者の一人、ペルー発のNFTプロジェクトの創設者、世界展開しているトークン企業のプロダクト責任者、業界誌の表紙を飾るようなCXコンサル企業CEOも名を連ねる。共同創業者にはGameFiインフルエンサーであり、複数社経営する茶圓将裕氏が在籍する。

「人生は選択の連続、その選択の質を上げる助けになれたら幸いです」。

NFTアイテムの購入がGameFiプロダクトを利用するための必須条件になっていることが通例ではあるが、業界の裾野を広げていくために、sharefullの無料メール登録だけでも報酬を貯められるという仕組みも組み込む予定だ。無料版だと多少の制限はあるが、NFTアイテムを購入前にお試し利用してから切り替えることができるため、「NFTは不安」という人には大きな安心となる。もちろん、ゲームに参加せず、口コミサイトのみで利用も可能。

まずは食の分野からスタート。2022年12月にアルファ版が全世界でローンチされ、今後改良を加えながら、本格運用されていく。さらに2023年には旅行、医療、教育の分野へも展開しながら、サービス拡大を目指す。身近になっていくGameFiの世界を体験する良い機会になりそうだ。

文:星谷なな
編集:岡徳之(Livit