【寄稿】経営直下に「環境部」を発足。カーボンニュートラル実現に向けて|楽天グループ株式会社

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本コラムは、企業・団体などから寄稿された記事となります。掲載している取り組みやサービスの内容・品質、企業・団体などをAMPが推奨・保証するものではありません。

各企業・一人ひとりのパートナーシップ構築の加速をサポートするため、サステナブル推進企業の取り組み事例をコラム形式で提供。

今回は楽天グループ株式会社の取り組みを紹介する。

楽天グループ株式会社の取り組み

ここでは、サステナブルな社会の実現に向けた事業内容について
▼アプローチ視点
▼実施内容
▼推進体制
の3つの視点を一覧形式で紹介する。

アプローチ視点 グリーンな社会の実現に向け、2023年までに連結子会社を含めたグループ全体の事業活動における温室効果ガス排出量※1を実質ゼロにする、カーボンニュートラルの達成を目指しています。
実施内容 気候変動対策に取り組むグループ横断組織として、グローバル動向のリサーチとそれに合わせた戦略策定、環境データの収集と開示、各事業やサービスごとの目標設定・進捗管理やカーボンニュートラル達成に向けた具体的なアクションのアドバイス・支援を行っています。
推進体制 2022年1月1日に環境部を発足。現在約10名のメンバーが所属しています。また、いくつかの事業を束ねるカンパニーや、コーポレート機能を担う部門ごとに環境PIC(Person in Charge)を設置しており、各環境PICには、組織ごとに割り振られた目標達成に向けて、環境部とともに取り組みを推進いただきます。報告・意見交換の場として月次の分科会も開催しています。

実施している取り組み

事業活動による温室効果ガス排出量※1を実質ゼロへとするべく取り組んでいます。今年9月には、楽天グループ株式会社の連結子会社を含めたグループ全体で、2023年にカーボンニュートラルを達成するという目標を発表しました。

楽天グループが事業活動において排出する温室効果ガス約17万t(Scope 1+2排出量。2021年実績)のうち、約99%は電力利用に由来するものです。このため、楽天グループとしては、事業活動において使用する電力の消費を効率化し削減するとともに、再生可能エネルギー(再エネ)由来のものに切り替えていくことが必要です。

2021年に、楽天グループ株式会社の再エネ使用率100%を達成しましたが、グループ全体の達成率は20.6%でしたので、やるべきことは山積みです。今年に入って、子会社の株式会社楽天野球団と楽天ヴィッセル神戸株式会社がそれぞれ管理運営するスポーツスタジアムにおいても、再エネ100%を達成しました。今後はグループの各オフィスや所有する物流倉庫やデータセンター、基地局を中心に、太陽光パネル導入や長期PPAを活用した再エネ化を進めてまいります。

ただ、「電力利用の効率化を行う」「再エネ化を進める」というのもなかなか一筋縄にはいきません。「何にどのくらいの電力を使っているのか」、「どんな電力消費は効率化できるのか」といったことを正しく把握した上で、場合によってはAI等のテクノロジーを活用した抜本的なビジネスの変革、電力契約の見直しが必要になります。モバイルビジネスの通信網からオフィスの空調まで、管理すべきものは大小様々、多岐にわたりますので、エネルギー管理士の資格を持つ環境部の社員も各施設に出向いてアドバイスを行ったりしています。地道な取り組みですが、この小さな積み重ねが実績へとつながっていくと信じています。

取り組み実施に至った背景

2000年頃から世界で自然災害が急増し、100年前に比べるとその数は76倍に膨れ上がっているというデータもあります。今年もカリフォルニアで大きな山火事が発生したり、パキスタンで豪雨によって国土の3分の1が水没し甚大な被害がもたらされたりしたように、環境問題は差し迫った危機であり、楽天としても「避けては通れない」という声が多くなってきていました。いつかやらないといけないなら率先してやろうと、社長の三木谷はじめ経営陣の積極的な声もあり、経営直下に専門部署である環境部を発足させました。

環境問題にどのように取り組んでいくのか。楽天として今後の重要な課題として認識しています。

サステナビリティ推進体制

環境部は2022年1月1日に発足し、発足時のメンバーは2名でしたが、10カ月が経った現在は約10名のメンバーが所属しています。

また、いくつかの事業を束ねるカンパニーや、コーポレート機能を担う部門といった単位で環境PIC(Person in Charge)を任命しています。各環境PICには、組織ごとに割り振られた目標達成に向けて、環境部とともに取り組みを推進いただいています。具体的には、担当組織への環境問題の重要性の啓発、省エネ・再エネ化推進に必要なデータの取得、削減施策の推進などです。毎月、環境部と各環境PICで集まり分科会を実施して、互いにレポーティングを行い、各組織の課題感の共有をするなど、会社全体で環境意識を高める取り組みを行っております。

利益追求を行う企業で環境活動を推進する上で、最も重要かつ難易度が高いのは各事業との横断的な連携であると考えています。楽天のブランドコンセプトの1つ「一致団結」にもある通り、楽天グループ一丸となってこの大きな社会課題の解決に向け前進するため、各関係者との信頼構築は環境部の最重要ミッションのひとつです。

今後の目標や展望

まずはカーボンニュートラル達成目標として設定した2023年がもう間近に迫っているので、各環境PICとそれぞれの取り組みを具体化して、実現することを第一に考えています。ただ、これは私たちがすべきことのほんの一部であり、これを行ってようやくスタートラインに立てるのだという感覚です。現在スコープとしているのは自社の事業活動におけるカーボンニュートラルですが、次のステップは、サプライチェーンを含む温室効果ガス排出量削減です。

これを実現するにあたって、自社の取り組みで得られたノウハウを社会に向けて横展開していくということも、構想段階ではありますが取り組んでいきたいと考えています。例えば、排出量算出ツールのオープンソース化や、環境価値取引のルールメイキングに向けた働きかけなど。「気候変動」という視点でいえば、楽天自身のカーボンニュートラル達成による貢献量は限られていますので、社会全体にムーブメントを起こせるように、手を取り合いながら取り組んでいきたいと思います。

※1 :温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準である「GHGプロトコル」に沿って算出・第三者保証を取得した、Scope 1排出量(自らによる温室効果ガスの直接排出量)とScope 2排出量(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量)の合計

大橋 超(大橋 こゆる)
楽天グループ株式会社  環境部 企画推進室 室長。2020年、楽天グループへ入社。総合企画部にて、新型コロナウイルスのワクチン自治体・職域接種オペレーション立ち上げ等、複数のグループ横断プロジェクトを担当。2022年1月に環境部発足に参画し、グループ全体の気候変動対策に向けた戦略を企画/推進している。
▼お問い合わせ先
●企業名:楽天グループ株式会社
●URL:https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/environment/

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