パーソル総合研究所は、職場のハラスメントに関する実態・課題について定量的なデータで把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に、全国の20~69歳男女の就業者28,135人を対象に、職場のハラスメントに関する調査を実施し、結果を公表した。

■調査結果概要

■2021年のハラスメントを理由とした離職者数は約86.5万人。そのうち57.3万人が会社に伝えられず

同調査の結果とオープンデータを基に、2021年の1年間に、ハラスメントを理由に離職した人を簡易推計したところ、約86.5万人となった。

そのうち、57.3万人が退職理由としてハラスメントがあったことを会社に伝えられておらず、会社が把握できていないという結果に。業種別に見ると、「宿泊業・飲食サービス業」でハラスメントを理由とした離職者が多いことが明らかとなった。

(左)全国のハラスメント離職者(右)離職者数 上位業種

■全就業者の34.6%が、職場で過去にハラスメントを受けた経験がある。

過去にハラスメントを受けた経験があるかという質問に対し、34.6%が「ある」と回答。

また、過去5年以内にハラスメントの被害を経験した3,000人に対し、被害の実態について聞いたところ、「自分の仕事について批判されたり、言葉で攻撃される」が65.1%で最多に。次いで、「乱暴な言葉遣いで命令・𠮟責される」が60.8%、「小さな失敗やミスに対して、必要以上に厳しく罰せられる」が58.8%となった。

(左)ハラスメントを直接受けた経験(右)ハラスメント被害の実態

■被害者が認識したハラスメントに対して、82.4%のハラスメントは未対応のまま。 

被害者が受けたと認識したハラスメントに対して、会社側が何らかの対応をするまでに至った割合は17.6%であり、82.4%のハラスメントは未対応となっている。

会社側の対応に至った場合の具体的な対応内容を見ると、「被害者の要望を聞いたり、相談にのってくれた」や「被害者に事実確認のためのヒアリングを行った」、「加害者に事実確認を行った」などの割合が高い。

(左)ハラスメントに対する会社の対応有無(右)ハラスメントに対する会社の対応

■ハラスメントに対して、周囲の目撃者の4割が「特に何もしない」。

ハラスメントに対する被害者自身の対応について、「特に何もしなかった」が4分の1を占め、また、周囲の人がハラスメントを目撃した後の対応としても、「特に何もしなかった」(=傍観行動をとる)人が最も多く41.4%、次いで「被害者の相談にのった/声をかけた」が40.7%となった。

(左)ハラスメントに対する被害者自身の対応(右)ハラスメントに対する周囲の対応

■上司の75.3%が「飲み会やランチに誘わないようにしている」、81.7%が「ミスをしてもあまり厳しく叱咤しない」。

上司のマネジメントとハラスメントの関係を見ると、上司の75.3%は「飲み会やランチに誘わないようにしている」81.7%は「ミスをしてもあまり厳しく叱咤しない」など、ハラスメントを回避するような行動を多くとっていることが分かった。

上司のマネジメントとハラスメントの関係

一方、こうした上司の行動は、部下に上司との心理的な距離感を感じさせ、上司との距離感を感じている部下ほど、過去1年間の成長実感を得られていないという結果となった。

上司との距離感と部下の成長実感

【調査概要】

調査概要

<参考>
パーソル総合研究所『職場のハラスメントについての定量調査