NECソリューションイノベータとイムノセンスは、手のひらサイズのセンサとポータブル測定器を組みあわせ、唾液から免疫状態を15分程度で簡単に可視化する測定システムを新たに開発したとのことだ。
同システムは、少量の唾液から、唾液中の粘膜免疫の指標であり、免疫状態と関連があるとされている分泌型免疫グロブリンA(以下、sIgA)の濃度を測定するもので、sIgAに結合する人工核酸アプタマーを用いたセンサを使用している。
これにより、大型分析装置による解析が必要なくなり、お金も時間もかかり測定が困難だったsIgAの測定を、場所を選ばず簡単に行うことができるようになるとのことだ。
測定結果は、スマートフォン向け専用アプリで免疫状態として可視化し、継続して測定することで、免疫状態の推移や変化を把握することができる。
今後NECソリューションイノベータは、2023年度中の実用化に向け、sIgAの測定データに基づいて、個人に適した体調管理を支援するサービス開発に取り組んでいくとのことだ。そして、多くの人々が同システムを用いて継続的にsIgAを測定することで、客観的なデータに基づいて自身の体調を把握し、一人ひとりに適したより効果的な体調管理を行うことができる社会の実現を目指すとしている。
同システムの概要
同システムは、センサに少量の唾液と緩衝液を混ぜた唾液サンプルを滴下し、センサを測定器に装着すると、15分程度で唾液中に含まれるsIgA濃度を測定することができる。使用するセンサは使い切りタイプのため、センサを交換すれば保有するポータブル測定器で繰り返し測定することができるとのことだ。
sIgA濃度の測定結果は、測定システムに接続したスマートフォンから専用アプリを通じて可視化。具体的には、継続して行ったsIgA濃度の測定結果を、免疫状態の推移として折れ線グラフで表示するという。
これにより、自身の免疫状態の変化を捉えることで、免疫状態に合わせた体調管理を選択することを支援します。また測定中に、体調に関する簡単なアンケートにアプリから回答することで、「風邪の症状」や「疲労感」などの体調も記録することができる。
将来的には、測定ターゲットに合わせた人工核酸アプタマーを用意することで、ストレスなど他の体調変化に関する項目に対してバイオマーカー測定への応用を予定しており、様々な検査の提供に向け、開発を拡大していくとしている。
なお、同システムは、「第一回日本唾液ケア研究会学術集会」(会期:11/27、会場:神奈川県歯科保健総合センター(神奈川県横浜市))に参考出展する予定。
NECソリューションイノベータとイムノセンスは、2023年度中の実用化に向けた検証を進めるとともに、両社の技術を活用して新たな社会価値を創造し、人々が自身で健康を維持できる社会の実現を目指していくとのことだ。