コスモ石油とアブダビ石油と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、JOGMEC)は、原油タンクに堆積したスラッジから有用な油分を回収し、従来技術より50%以上のスラッジを削減可能にする原油スラッジ削減(Sludge Volume Reduction、以下、SVR)技術の開発に成功したと発表した。

スラッジとは、原油に含まれる油分、水分、固形分(砂、さびなど)が混じりあったものがタンク底部に沈殿、堆積したもので、従来は定期的なタンク開放検査時にタンク外へ排出され、産業廃棄物等として処理されているという。

3者は、2016年よりスラッジの削減技術の開発に取り組んでおり、今回、スラッジを遠心分離設備によって有用な油分と不要な水分および固形分に分離する技術と、回収した油分を生産原油と混ぜ合わせる再原油化技術を組み合わせたSVR技術を開発。

左からスラッジ、遠心分離設備

アブダビ石油が所有する原油タンクに堆積したスラッジを対象に、コスモ石油が所有するSVR技術をコスモエンジニアリングにライセンスし、原油タンクに堆積したスラッジ全量に対し実証試験を行った結果、従来技術より50%以上のスラッジを削減することに成功したとのことだ。

従来技術とSVR技術の仕組み

今回の成果を活用することで、従来産業廃棄物として処理されていたスラッジを大幅に削減することが可能だという。

3者は、実証試験から得られた知見をもとに更なる技術改良を進めるとともに、産油国のみならず国内外のオイルターミナルなどへの商業展開を進めていくとしている。