KDDIは、一般社団法人渋谷未来デザイン(以下、渋谷未来デザイン)、一般財団法人渋谷区観光協会(以下、渋谷区観光協会)を中心に組成する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とともに、渋谷区内のさまざまな情報をデジタル空間上に再現し、分析や予測などを行うことでスマートなまちづくりを進める「デジタルツイン渋谷」を、リアル空間とバーチャル空間が連動したプラットフォームとして拡張すると発表した。
拡張した「デジタルツイン渋谷」では、リアル空間の環境をバーチャル空間上に再現するデジタルツインに、渋谷の街の写真や位置情報、ARを連動させることで空間を超えたコミュニケーションを実現するという。
第1弾として、実際の街にあるアパレル店舗と商品をバーチャル空間に再現し、リアル空間の店員がバーチャル空間の利用客を接客する実証実験を実施します。利用客は店員へ質問が可能なほか、気になる商品を指差して伝えるなどリアル同様の自然な対話ができます。
今後KDDIはデジタルツインを活用し、アパレル店舗のほか、飲食業、観光業、不動産業、家電量販店や百貨店業など、実店舗を持つさまざまな業種とも実証を進めていき、2023年夏頃のサービス提供を予定しています。
■「デジタルツイン渋谷」について
●「デジタルツイン渋谷」では、渋谷スクランブル交差点エリア、センター街エリアなど現実の渋谷から収集した写真データなどをデジタル化。さらにバーチャルとリアル空間が連動し、リアルとバーチャル空間の参加者が互いに見え、空間を共有しながら会話することができるとのことだ。
●リアル空間では、スマートフォンを街にかざすとバーチャル空間の加者が街に現れる。バーチャル空間では、リアル空間の参加者がデジタルツイン内に現れる。
●なお、街の外観・店舗の内観・販売商品の陳列などは、衛星写真・航空写真・スマートフォンで撮影した写真などのデータから作成しており、空間同士の連動はVPS技術で参加者の現在地や向いている方向を特定することで実現。
スマートフォンでの撮影のみで商品などを3D化できる手軽さと、全国主要都市をカバーするVPSデータで、各地域へ短時間かつ低コストで展開していくことが可能であるとしている。
■プロジェクトの実施背景
KDDIは、2019年から「渋谷の都市体験をエンターテインメントとテクノロジーでアップデートする」をテーマに、5G通信とAR・MR技術を活用した渋谷の都市体験の拡張に取り組んできた。
新型コロナウイルス感染拡大により、リアル空間を起点とした取り組みが困難になったことを契機に、2020年5月に自治体初の公認「バーチャル渋谷」の提供を開始。過去3年にわたりテクノロジーによる新しいエンターテインメントの形としてアーティストによる音楽ライブやアニメ・漫画キャラクターのトークショーなど、バーチャル空間を起点とした都市連動体験を提供してきたという。
今後の人流回復を見越し、「バーチャル渋谷」と同種の都市連動型メタバースの取り組みとして、リアルとバーチャル空間が連動する「デジタルツイン渋谷」を拡張。
利用客や企業からリアル空間とバーチャル空間の両方で利用できるサービスが求められているなか、2019年当初に考えていた「テクノロジーによる都市体験の拡張」という理念にもとづき、バーチャル空間を起点とした体験は「バーチャル渋谷」提供しながら、リアル空間を起点とした体験は「デジタルツイン渋谷」で提供していくとしている。
■実証内容
第1弾では、アパレル店舗における店員と利用客の接客、飲食店における利用客同士のコミュニケーションを想定した実証実験を行うという。実在する店舗とバーチャル空間内に再現された店舗において、空間を飛び越えた交流や接客を可能に。
アパレル店舗では、実店舗とバーチャル店舗が一体化し、実店舗で工夫されている内装や照明などの雰囲気、買い物導線、陳列やポップなどの販促物をそのまま再現し、利用客に体感できるとしている。
また利用客は店員に直接商品について質問することが可能なほか、空間全体が共有されるため近づいたり指差すなどのジェスチャーだけで、沢山並ぶ商品から気になる商品を自然に伝えることができる。飲食店(バー)では、遠隔地からバーチャル空間のバーに入店し、現地の利用客と互いに会話することができる。
KDDIは「都市連動型メタバース」において、さらなる実在都市との連携強化、経済圏や生活圏の拡張に向け、「バーチャル渋谷」と「デジタルツイン渋谷」を、利用客の目的や用途に合わせて提供していくとのことだ。