日産自動車は、ロシア市場からの撤退に関して、同市場の事業をロシアの自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に譲渡する事を決定したと発表した。

今回の決定により、現在Nissan Manufacturing Russia LLC(NMGR)が担うロシアの全ての事業が NAMIに譲渡され、今後の乗用車プロジェクトのために活用されるという。また、サンクトペテルブルクにある日産の生産・研究開発施設と、モスクワにある販売・マーケティングセンターは、新名称で運営される予定であるとのことだ。

今回の発表は、3月から実施しているロシア市場での事業停止に続くものとなる。NMGRを引き継ぐ新組織のもと、同国の全従業員はNAMIにより12カ月間の雇用が保障されるという。

なお、今回の譲渡については、数週間以内に関係当局の承認を受けて、正式に決定される予定。また、今回の譲渡については、日産がNMGRおよび同社の事業を買い戻せる権利が含まれており、今後6年の間に行使することが可能としているとのことだ。

同社は、ロシア市場からの撤退に伴い、一過性の損失として約1,000億円を計上するという。ただし、今年度の業績見通しに変更はないとしている。引き続き精査を行った後、詳細については、改めて今年度の第2四半期の決算発表時に発表するという。

社長兼CEOの内田 誠氏は、以下の通り述べている。

日産を代表して、長年にわたりビジネスに貢献してくれたロシアの仲間に感謝致します。ロシア市場で事業を続けることはできませんが、我々の仲間を最大限支援できる解決策を見つけることができました。

なお、今年度の事業計画の見通しでは、ロシア事業は停止されている事を前提として織り込んでおり、「Nissan Ambition 2030」のもと、同社の事業構造改革「Nissan NEXT」は目標の達成に向けて着実に進捗しているとしている。