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ブリヂストンの米州グループ会社であるブリヂストン アメリカス インクは、タイヤの原材料となる天然ゴムの持続的な供給に向けて、米国・アリゾナ州に保有するグアユール農園への投資を強化することを決定したと発表した。
今回の投資は、グアユール由来の天然ゴムの実用化(2026年)へ向けたもので、2025年までに約40百万米ドル(約50億円)を予定している。
また、地域の農家やアメリカ先住民の方々と協力し、最大25,000エーカー(約100km2)までの新たな植栽による規模の拡大を図るとのことだ。
さらに、2030年へ向けては本格的な生産・事業化(2030年)を目指し、バイオ技術を活用したグアユールの栽培・グアユール由来のゴムの生産拡大への計画検討を進めているという。
天然ゴム供給源の多様化に向けた取り組みを通じて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Ecology持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐこと」、「Energyカーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」にコミットしていくとしている。
ブリヂストングループ(ブリヂストン)は、サステナビリティを経営の中核に据え、ビジョン「2050年サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」に向けて、「断トツ商品」を「創って売る」「使う」「戻す」といった、同社グループのバリューチェーン全体でサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル化への取り組みと、ビジネスモデルを連動させる「サステナビリティビジネス構想」の実現に向けた取り組みを加速している。
持続可能なタイヤとソリューションの普及によって、安心・安全な人とモノの移動を支え続けることに貢献するためにも、地域社会とも連携し、タイヤの主要な原材料である天然ゴム資源を持続的に確保していくことが重要だと考えているとのことだ。
<グアユール事業について>
グアユールは、米国南西部からメキシコ北部に広がる砂漠に自生する、干ばつ耐性が高い低木。従来型の農機を使い、コスト効率よく栽培することが可能で、綿などの植物に対しておよそ半分の水で栽培することができる。また、グアユールを多く植栽することでCO2吸収の増加に貢献するなど、環境負荷の低減に寄与するという。
ブリヂストンは、2012年にグアユールの研究活動を本格的に開始した後、米国・アリゾナ州に研究施設と281エーカー(約1.1km2)のグアユール研究農園を設立・運営している。
2030年の事業化に向けて、これまでも約130億円以上を投資してきており、グアユール由来の天然ゴムを使用したタイヤの完成(2015年)やゲノム解析による優良種の拡大を推進するなど着実な成果につなげているという。
また、米国農務省の国立食品農業研究所によって研究開発支援対象へ採択され(2017年)、米国エネルギー省の共同ゲノム研究所からグアユール収量最適化のための研究助成金を受領(2021年)するなど多くの政府機関より支援を受けているとのことだ。
また、ブリヂストンは、将来に向けて持続的に成長するために、同社グループのコアコンピタンスが活きる事業領域での技術、ビジネスモデルの探索を進めており、グアユール事業を探索事業の一つとして位置付けている。
実用化・事業化に向けた取り組みにおいてはパートナーとの共創が不可欠であり、これまでもVersatile社と商用化に向けた提携を進めており(米)、また、NRGene社とグアユールの高度な科学的研究を推進すると共に(米・日)、キリンホールディングス社と天然ゴムの生産性向上に寄与する技術開発を行うなど(日)、バイオ技術分野においても共創に取り組んでいるとのことだ。
<グアユールを使用したレースタイヤについて>
ブリヂストンはモータースポーツ活動を通じて、タイヤの限界性能を追求する技術の研鑽につとめている。今年8月7日に米国・テネシー州(ナッシュビル)で行われた「NTT INDYCAR® SERIES」ビッグマシーン・ミュージックシティ・グランプリではグアユール由来の天然ゴムをタイヤのサイド部分に使用した「Firestone」ブランドタイヤが初めて装着された。
時速200マイル(約320km)を超えるスピードでレースが展開されるなど、高速、高耐久が求められる北米最高峰のフォーミュラカーレースで、グアユール由来の天然ゴムを使用したタイヤの安全性と運動性能が証明されているという。
同取り組みは、サステナブルなモータースポーツを通じて心を動かすモビリティ体験を支える活動の一つとなっている。
<米国・アリゾナ州での活動について>
ブリヂストンはより多くの地元農家と協力関係を構築しており、今後1年間でも新たに350エーカー(約1.4km2)の土地にグアユールの植栽を行う計画であるとのことだ。
米国・アリゾナ州中部で、水不足の深刻化により不作だった農地をグアユール収穫用に転換するこの取り組みは、同地域で灌漑に用いるコロラド川の水不足の解決に積極的に取り組んでいるNGOの Environmental Defense Fundと合意して実現したもの。
ブリヂストンは、環境長期目標で、2050年を見据えたカーボンニュートラル化、100%サステナブルマテリアル化を目指して、バリューチェーン全体で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化、加速しているという。
タイヤの原材料である天然ゴム資源を再生可能資源として持続的に確保していくためにも、代替原料としてのグアユールの実用化やパラゴムノキ由来の天然ゴムの生産性向上に向けた研究開発など、天然ゴム資源の多様化と拡充に向けた取り組みを推進。
その一環として、使用済タイヤを新たな再生資源として原材料に戻す技術を探索すると共に、合成ゴムやカーボンブラックなど本来石油由来の原材料を再生資源、再生可能資源で置換するといった取り組みにも挑戦しているとのことだ。