HISは、HISの連結子会社であるハウステンボスについて、同社が所有する全株式を、PAG Asia Capital Limitedとその関連会社(以下、PAG)が運用するプライベート・エクイティ・ファンドが管理する特別目的会社であるPAG HTB Holdings(以下、譲受会社)に譲渡する、株式譲渡契約締結の決議を発表した。

1.株式譲渡の理由

同社は、2010年4月よりハウステンボスの経営再建をすることを使命とし、日本が目指す観光立国の実現に寄与すると共に、地域の活性化・雇用の創出を図るべくテーマパーク事業に参画。

開業以来18年赤字が続いていたハウステンボスは、様々な改善・改革を重ね、同社グループ傘下になった年より10期連続黒字化を達成したとしいう。

直近事業年度はコロナ禍により赤字決算となったものの、安定した経営基盤を背景に開業30周年事業の施策も展開し、今期は黒字化の見込むなど、同社は経営再建・地域の活性化・雇用の創出という役割は果たせたと考えているという。

同社は「世界の人々に喜びと感動を提供し、新しい観光ビジネス都市を創造する」というハウステンボスの企業理念の実現に向け、更なる成長と競争力強化を図るため、同社が所有するハウステンボスの全株式を譲渡を決定。

テーマパーク事業に関する知見を有し、機動的かつ柔軟に資金供給を行うことができる同社グループ外のパートナーがハウステンボスと連携をより強力にしたうえで事業を追及していくことが、ハウステンボスの更なる発展につながるとの結論に至ったとのことだ。

PAGは、エンターテインメント業界を投資における注力分野の一つとし、テーマパーク事業については、2013年12月のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイへの出資の実績を有している。

また、PAGは、今後のハウステンボスのアトラクション導入・イベント投資によるテーマパーク事業の拡大、テーマパークとしての魅力度を高めることでのより強固なブランド醸成を通じた集客力向上の可能性、およびレジャー市場の回復の見込み等を踏まえ、ハウステンボスを高い成長性を有する企業として評価しているという。

同社は、PAGによるテーマパーク事業に関する知見を活用した効果的な資金供給のもとで事業拡大を図ることが、ハウステンボスの中長期的な企業価値の向上に資すると判断したため、同社が所有するハウステンボスの株式の全てを譲受会社に譲渡する旨の株式譲渡契約書の締結を決議したとのことだ。

2.株式譲渡の方法

同社は、同株式譲渡の実行予定日に、譲受会社に対して、同社が所有するハウステンボスの株式の全てである20,000,000株を譲渡することとしている。

また、ハウステンボスは、同株式譲渡の実行予定日に、同株式譲渡の実行に先行して、ハウステンボスの発行済株式のうち、九州電力が所有する4,000,000株、西部ガスホールディングスが所有する3,000,000株、九電工が所有する1,500,000株、九州旅客鉄道が所有する1,000,000株、西日本鉄道株式会社が所有する500,000株を、自己株式として取得予定。

同自己株式取得および同株式譲渡の実行により、譲受会社はハウステンボスにかかる議決権所有割合の100%を取得する予定とのことだ。

■今後の見通し

同株式譲渡に伴い、2022年10月期第4四半期の個別決算において、関係会社株式売却益として64,660百万円の特別利益を計上する予定としている。

また、連結決算において特別利益を計上する予定としているが、金額は精査中のため、精査完了後に開示を予定。

なお、2022年10月期の連結業績予想については、新型コロナウイルス感染症による影響を現時点で合理的に算定することが困難であることから未定としており、連結業績予想の開示が可能となった段階で、同株式譲渡による影響を含め、速やかに公表するとのことだ。