JR西日本グループは、国土交通省が公募した「鉄道技術開発・普及促進制度 令和4年度新規技術開発課題」(鉄道車両におけるバイオディーゼル燃料の導入に向けた技術開発)として、(公財)鉄道総合技術研究所とJR7社から共同提案した計画が採択され、ディーゼル車両への次世代バイオディーゼル燃料導入に向けた実証実験を実施すると発表した。

JR西日本グループは、2021年に環境長期目標「JR西日本グループゼロカーボン2050」を策定。2050年にグループ全体のCO2排出量「実質ゼロ」とすることをめざした取り組みを行っており、その一環として同社エリアを中心に今回の実証実験が行われるとのことだ。

■実証実験内容(予定)

(1)概要
A)エンジン性能確認試験
エンジン単体での試験。軽油と次世代バイオディーゼル燃料の混合率5%から開始し、段階的に100%に引き上げ、軽油を使用した場合との差異を確認。
B)走行試験
試運転列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1日1往復の試験走行。通常期・夏期・冬期の3シーズンで各1か月程度実施し、気温の影響を確認。
C)長期走行試験
複数の営業列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1車両あたり1日200km程度走行。燃料消費量の変化や品質レベル、営業列車に使用できる安全性・安定性が担保できるかを確認。

(2)使用予定車両
DEC700またはキハ40など

使用予定車両

(3)実施予定線区
山陰線等、主にディーゼル車両が走行する線区での実施を検討中。

(4)スケジュール
2022年度:エンジン性能確認試験
2023年度:走行試験
2024年度:長期走行試験
2025年度以降:本導入

(5)本取り組みのポイント
●同社が保有するディーゼル車両の燃料を次世代バイオディーゼル燃料へ100%置き換えることを目標とし、その実用性を検証。
●次世代バイオディーゼル燃料を常時100%使用する本格実装に向けた長期走行試験を行うのは、鉄道事業者で初めて。

■想定される効果

●現在、同社で使用するディーゼル車両から排出されるCO2(2021年度実績は約55,000トン)が実質ゼロに。

●同社外も含めた鉄道車両、あるいは同様にディーゼルエンジンを使用する乗りもの・機械等への次世代バイオディーゼル燃料の使用拡大により、社会全体でCO2のさらなる削減が図られるとともに、スケールメリットにより燃料調達コストの低下が図られ、さらに次世代バイオディーゼル燃料の普及とCO2削減が進んでいく好循環が生まれることを期待。