イデアラボ、ユニ・チャーム共生社会研究所のの研究グループは、夫婦へのインタビューや夫へのアンケート調査をもとに男性の育児参加を促す要因を発表した。
同研究は、夫が「在宅勤務である」「子どもの笑顔や成長を見て幸せを感じる」「自分が育児や家事をしたことに対して肯定的な評価を受けていると感じる」という点が父親の育児参加を促進することを示したものとしている。
コロナ禍で企業の勤務体系が子育て家庭に与え得る影響が明らかになり、社会で注目される「男性の育児参加」に対して新たな知見を提供したとのことだ。
研究の内容
同研究は2つの研究結果をまとめたものであり、研究1では10組の夫婦を対象に行った半構造化面接(インタビュー)から夫の育児参加についての仮説モデルを生成し、研究2では360名の夫を対象に質問紙調査(アンケート)を実施して、研究1で生成されたモデルの検証を実施。
研究のまとめとして、夫の育児参加を促進/阻害する要因を整理したモデルを生成したとのことだ。
研究の結果、夫の育児参加を促す要因として(1)夫が在宅勤務であること、(2)夫が子どもの笑顔や成長を見て幸せを感じること、(3)妻や友人から夫の育児に対する称賛・感謝があること、の3つが示されたという。
社会への影響
同研究グループは、父親が育児に参加することは、共に育児を行う妻だけではなく子どもや夫自身にとっても重要な意義があると考えられるとしている。
また、これまで子どもから父親への働きかけが育児参加に影響を与えていることは知られていたが、それとは別に父親が子供の笑顔や成長を肯定的に評価しているかどうかも重要な要因であることが新たにわかったという。
総務省の調査によると、コロナ禍で在宅勤務を導入した1,209社のうち、約8割が収束後も在宅勤務を活用する予定または検討中と回答しており、今後感染症対策が必要でなくなったとしても、同研究の結果からは勤務体系を柔軟にすることが子育てを支援することにつながる可能性が示されているとのことだ。
企業や社会が男性の育児参加を促すためには、可能な限り在宅勤務を認めたり、できるだけ子どもの笑顔や成長を見る機会を設けたりするよう働きかけることが必要なのではないかと同研究グループは考察している。
なお、同研究成果は、日本家政学会誌の73巻6号にて公開されているとのことだ。
<参考>
イデアラボ、ユニ・チャーム『夫婦のコミュニケーションや育児環境に関する研究成果』