メッセンジャーRNA(以下、mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業Moderna(以下、モデルナ)の日本法人モデルナ・ジャパンは、追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214 50μgを、18歳以上を対象とした追加接種用ワクチンとして厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。

なお、追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214は、mRNA-1273とオミクロン株対応のmRNAを含んでいるとのことだ。

モデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木蘭美氏は「mRNA-1273.214の臨床試験では、オミクロン亜系統BA.1だけなく、BA.4およびBA.5に対する強力な中和抗体反応が誘導されました。日本でもオミクロン株とその亜系統による感染が続いており、日本の公衆衛生にとってもCOVID-19は引き続き脅威となっています。次世代の追加接種用2価ワクチンを一刻も早くお届けできるよう、厚生労働省と協力してまいります」と述べた。

今回の申請は、臨床試験前に血清学的にSARS-CoV-2検査が陰性であった被験者に対する、mRNA-1273.214による追加接種(50µg)が、mRNA-1273の追加接種(50µg)との比較において、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体反応など全ての主要評価項目を達成した第2/3相臨床試験の結果に基づくものだという。

優越性は、事前に規定した中和抗体価の幾何平均比(GMR)の信頼区間の下限値1超を基準として評価。その結果、GMRおよび対応する97.5%信頼区間は1.75(1.49、2.04)となった。

mRNA-1273.214の追加接種により、オミクロン株に対する中和抗体価の幾何平均(GMT)はベースライン値の約8倍に増加したとのことだ。

なお、起源株であるSARS-CoV-2(D614G)に対するGMRは1.22(1.08~1.37)で、主要評価項目である起源株に対する非劣性も達成。

結合抗体価もmRNA-1273.214がmRNA-1273よりも他のすべての変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロン)に対して有意に高い結果(名目上の有意水準0.05)が示されたという。

さらに、mRNA-1273.214は、感染歴に関係なくBA.4/BA.5に対して、全ての被験者で試験開始前の5.4倍(95%信頼区間:5.0、5.9)、血清学的にSARS-CoV-2検査陰性被験者では6.3倍(95%信頼区間:5.7、6.9)の中和抗体価を誘導したとしている。

BA.4/BA.5に対する中和抗体価は、BA.1に対する中和抗体価の約3分の1となった。ただし、mRNA-1273.214の追加接種の1か月後でも、BA.4/BA.5に対するGMTは、全被験者で941(95%信頼区間:826、1071)、血清学的にSARS-CoV-2検査陰性の被験者で727(95%信頼区間:633、836)であった。

接種時に感染のない被験者では、mRNA-1273による追加接種と比較して、mRNA-1273.214はBA.4/BA.5に対し有意に高い中和抗体価を示し、幾何平均比は1.69(95%信頼区間:1.51~1.90)という結果に。

また、mRNA-1273.214 50μgの追加接種は、437人の試験参加者に十分な忍容性を示し、mRNA-1273.214(50µg)追加接種の安全性と反応原性プロファイルは、mRNA-1273(50µg)と同様となったとのことだ。