JALは、学校法人中央大学研究開発機構(以下、中央大学)、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団(以下、エコモ財団)と、航空利用に慣れるための事前準備から実際の移動まで、旅行全体のバリア解消による、発達障がいのある利用者の安心・快適な空の旅の実現に向けた共同プロジェクトを実施すると発表した。

【概要】

近年、国内で増加傾向の発達障がいは、周囲の環境に対して不安を感じやすく音、光、匂い、空間などに過敏に反応する、そわそわして休みなく動く、突発的な出来事への対応が苦手など、一人一人特性が異なるという。

この共同プロジェクトでは、交通機関のさまざまなバリアフリー推進の取り組みに関わってきた、エコモ財団に所属する発達障がいの子どもをもつアドバイザーや医師、中央大学のアクセシブルツーリズムについて研究している専門家が計画段階から参画し、さまざまな知見を取り入れながら、旅行に行く際に感じられるバリアを1つ1つ確認し、その解消につながるプログラムを構築。

航空機の利用に不安を感じる発達障がいのあるユーザーとその家族などを対象に、ツアーへの参加をゴールとして設定し、実現に向けて取り組むとしている。

1.事前搭乗体験会の実施

航空利用機会の少なかった発達障がいのあるユーザーは、日常生活と大きく異なる環境に対して、大きなバリアを感じられるという。そこで、空港や航空機の環境に慣れることに加え、旅行でのバリアを把握することを目的に、事前搭乗体験を通して不安の解消を目指すとしている。

■ 事前搭乗模擬体験会 (場所:訓練施設、9月4日)

【空港体験】(搭乗手続きから、保安検査、搭乗まで)
羽田空港の訓練施設内に再現されているチェックインカウンターなどで、空港での搭乗手続きから保安検査の手順を体験。

【客室体験】
羽田空港の訓練施設内に再現されている航空機の客室で、搭乗から着席など客室内の様子を体験。
当日は乗客役として他の座席には乗客役のJAL社員も着席し、実際の機内の環境に近い状況で過ごすという。

【空港体験】
当日利用する羽田空港のターミナルで、空港の広さや匂い、音声アナウンスなどを体感。

【客室体験】
ツアー当日に搭乗する飛行機であるエンブラエル170型機を使って、飛行機の中の大きさや座席などの様子を体感。

2.「秋のアクセシブルツアー in山形」ツアーの実施(10月11日~13日、旅行企画・実施:ジャルパック)

ゴールとなるツアーは秋の山形へ向かうという。地元の旅行会社山新観光の協力により、果物狩りや芋煮会などを通じて、旅の楽しさや豊かさを体感するという。

今後、各社はツアーの実現に向けて検証を重ね、発達障がいのあるユーザーのチャレンジを応援し、旅の楽しさや豊かさを感じてもらえるよう航空利用環境の整備に努めるとともに、新しい旅のスタイルを提案し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、誰もが気兼ねなく参加でき、楽しめる旅行の実現に向け連携を深めていくとしている。

【協力メンバー】