サッカー元日本代表の鈴木啓太が社長を務めるバイオベンチャーのAuB(オーブ)は、京セラや大正製薬、三菱UFJキャピタル、静岡キャピタルを引受先とする第三者割当増資で、3億円を調達したと発表した。
同社が投資会社や大手メーカーから出資を受けるのは二回目で、今回の増資により創業からの累計資金調達額は約7億1000万円になる。
■AuBについて
AuBは、「すべての人を、ベストコンディションに。」をミッションに掲げ、アスリートの腸内細菌データの研究から、科学的アプローチに基づいた「菌を摂る・育てる・守る」のメソッドを、一般の人々にも取り入れやすいかたちで提供し、誰もがいつまでも夢に向かって暮らせる健康的な社会の実現を目指すという。
同社は、アスリート特有の腸内環境が、ヒトの腸内環境の理想的な姿であることを4年間かけて発見。
また、AuBが保有するアスリート腸内細菌のデータ数は世界No.1であるとし、大学・企業と研究開発を重ね、機能性や品質を科学的に追求した商品・サービスを提供している。
現在は、主に独自の菌素材を活用した栄養補助食品や食品のD2Cフードテック事業を中心に進めているとのことだ。
また、新規事業としてアプリやデバイスを用いたヘルスケアサポートの展開や、スポーツ・ヘルスケア・教育を結びつける事業展開も構想しており、多岐にわたるライフサイエンスカンパニーを目指しているという。
■資金調達の背景
調達した資金は主に、腸内フローラをケアする栄養補助食品やヘルスケア製品などの製品開発および、事業拡大に向けた人材採用などに充てるという。また、現在販売中のサプリメントやプロテインに加えて製品ラインアップと製品群を拡充し、事業拡大を図るとのことだ。
京セラと大正製薬とは、業務でも提携。
京セラとは腸内環境を予測する臭気センサーの共同研究を進め、大正製薬とは同社の知見を活用した食品関連の商品化を検討するとしている。
大正製薬と三菱UFJキャピタルからは、事業開発段階にあたる「シリーズA」の資金調達(2019.9発表)でも出資を受けており、それ以降、大正製薬とはフードテック製品の共同開発を進めている。
今回初めて出資を受ける京セラとは、腸内フローラに関する共同研究の契約を締結(2020.2発表)しており、それ以降、同社保有のAI技術を使用した、便の臭気から腸内環境の傾向を予測するシステムやデバイス構築等に関する研究を行っている。
京セラから出資を受けるのは今回が初めて。今回の「シリーズB」として調達した資金は、こうした共同開発や共同研究にも充てるとしている。
<代表取締役の鈴木啓太のコメント>
「2015年10月の創業から研究開発先行型のバイオベンチャーとして知見を蓄えてきました。これまでの地道な研究が実を結び始め、いよいよ企業として成長フェーズに入ります。続々と新商品開発に着手しながら、採用にも注力しており、すでに研究開発部門の人員を補充したほか、商品開発やコミュニティづくりを担うマーケティング部などの人員強化に乗り出しています。今回の資金調達で、組織全体を底上げしながら、より一層のスピードと完成度を持って事業を進めていきます。アスリートの健康的な腸内環境を解明し、人々の健康に寄与するという、誰も到達したことのない、面白そうな世界を開拓して参ります。」