三菱商事は、革新的な脱炭素技術の社会実装を加速させるBreakthrough Energy Catalyst(ブレイクスルーエナジーカタリスト、以下「BEC」)への出資参画することを発表した。

なお、三菱商事は1億ドルの出資を通じ、アジア域内の企業として初めてBECに参画するとのことだ。

Breakthrough Energy組織構造

BECは世界的な篤志家であるビル・ゲイツ氏が2015年に設立した、脱炭素に関する投資および慈善活動などを行うBreakthrough Energyが新たに開始した取り組み。

研究開発を終えた脱炭素に資する技術を用いた個別プロジェクトへの投資などを行い、脱炭素事業の社会実装を加速させるという。

三菱商事は、2021年10月に「カーボンニュートラル社会に向けたロードマップ」を策定し、温室効果ガス排出量の削減目標やEX(エネルギー・トランスフォーメーション)関連投資に関する方針を公表。

資源・エネルギーを始めとする様々な事業に携わってきた当事者として、地球規模の共通課題であるカーボンニュートラル社会実現に取り組んでいるとしている。

同社は、再生エネルギー事業や水素・アンモニア・メタネーションなどを活用した次世代エネルギーの導入検討などに着手しているものの、全世界的な課題であるカーボンニュートラル社会への移行・実現には、新技術とイノベーションの活用が必要不可欠と認識しているという。

BECは、民間企業・慈善団体からの資金供給に加え、グリーン製品需要家による製品引取支援、更には政府機関からの支援を有機的に結び付ける“Catalyst(触媒)”となり、カーボンニュートラル社会を実現する為に必要な商業化直前の革新的な脱炭素技術を用いたスケールアップ・プロジェクトを支援する枠組みを構築。

注力分野は、(1)クリーン水素製造(及び水素関連インフラ)、(2)長期エネルギー貯蔵、(3)持続可能航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)、および(4)直接空気回収(Direct Air Capture)の4分野で、将来的には脱炭素化に重要なその他技術にも対象領域を拡張していく事を想定しているとのことだ。

これらの対象領域は、同社が進めるEX戦略、および「カーボンニュートラル社会に向けたロードマップ」を具体化させていく上で極めて重要な技術だとしている。

同社は、BECへの参画を通じてカーボンニュートラル社会への移行・実現を支える技術革新の普及を支援し、人々の暮らしへの安心を損なうことなく、環境負荷の更なる軽減を実現したいと考えているという。

同社が有する日本・アジア地域での知見やネットワークを最大限活用し、鉄鋼・航空・金融・エネルギーなど幅広い分野における他の参画企業と共に、BECの価値向上、カーボンニュートラル社会への移行・実現に貢献していくとのことだ。