三菱地所は、2020年代における丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町地区)のまちづくりを「丸の内NEXTステージ」と位置づけ、“丸の内Reデザイン=人・企業が集まり交わることで新たな「価値」を生み出す舞台づくり”を推進している。

コロナが加速させた本質的な社会変容を踏まえ、2020年7月には、ポスト・コロナ時代の新しいまちづくりやワークスタイル像を描いた「ポスト・コロナ時代のまちづくり」を公表したが、ポスト・コロナを本格的に迎えようとする今、丸の内のまちづくりに求められる役割と具体化戦略(5つのまちづくり戦略)について、このほど改めて再定義したとのことだ。

今後、丸の内NEXTステージを加速させる5つのまちづくり戦略を軸として様々な施策を推進し、これまで以上に多様な刺激を得られ、人・企業が交流し、新たな価値創造を実現するまちづくりを進めていくとしている。

1.新たな価値創出のためにまちが果たすべき役割

個人の自己実現や企業の事業変革を実行するには、一人ひとりがクリエイティビティを発揮し、一個人や一企業にとどまらない多様な協創が欠かせないという。

他方、コロナ禍で加速したワークスタイル、ライフスタイルの多様化は、交流機会の減少や、従業員のエンゲージメント、ロイヤリティ低下を招く恐れがあるとのことだ。

三菱地所は、「就業者28万人×8時間から、多様な就業者100万人×最適な時間、交流するまち」を掲げ、フレキシブルなワークスタイルへの変化をむしろチャンスと捉えている。

高いレジリエンス性・BCPを備えた安心・安全に活動できるエリアに、28万人、4300事業所が面的に集積する丸の内を、さらに多様化した100万人の集積に進化させ、「一人ひとりに即した1億通りの刺激・学びがある」、「最適な仲間・コミュニティに参加できる」、「協創・アウトプットが最大化する」まちを実現させるとのことだ。

2.5つのまちづくり戦略

①多様な場の提供
・「丸の内にオフィス・ワークスペースを設けたい」というニーズに対応し、新たなフレキシブル・ワークスペースの企画・開発を進めるとともに、曜日貸し、時間貸し、会員制等のフレキシブルな契約形態と場を用意。
・飲食店舗の空き時間のオフィス利用、公共空間のワークプレイス利用等、一つの用途に限定せず、場の使い方を柔軟に捉えるという。

②多様なテーマ・コミュニティ
・企業・個人が取組む課題は多様化し、社会課題の解決には異業種との協創が日常化している。
集積と多様化を進めると同時に、テーマを数多く設けて、同じ課題に取組む提携先・仲間を見つけやすく、かつ異業種との協創につながるコミュニティ同士の交流を働きかける。

③面でのつながり・発信
・120ヘクタールの面的な展開を活かし、丸の内にある複数の協創施設やコミュニティの共同利用を進める。

さらに、エリア内の移動を支えるパーソナル・モビリティを整備し、丸の内ならではの「まちのシェアリング」で100万人就業者を支えるとのことだ。

④クリエイティブな活動を引き起こす
・クリエイティブな活動を行う企業やヒトは、その活動場所にも、創造力を生みやすい環境や社会課題への取組み等、まちづくりに共感が持てることを求める。
・脱炭素社会への対応、アート×ビジネス、地域×都心といったテーマに、まち全体で取組む。
・みどり豊かなウォーカブルな空間と居心地の良いショップ&レストラン等、五感に訴える屋内外の空間を作る。

⑤デジタルビジョン・スマートシティの実現
・まち単位でDX化に取組む。まず、①人流データ・デジタルツイン等の都市のデジタル基盤、②オープンなサービスが参加できるプラットフォーム、③利用者との一元化接点となる基盤(MachiPass)に着手、概ね整備が完了している。
・この基盤を活かし、エネルギーマネジメントやロボット活用等「まちの運営」のDX、一人ひとりのニーズに即したサービスと体験価値の提供、ネットワークに参加する各種サービサーとの協創によるまちづくり、を進めるとのことだ。