資生堂は「WIPO GREEN」データベースに掲載している技術を、東洋大学の「TOYO SDGs Students Project ~SUGOMORI BOISEN project~」にライセンスしたと発表した。
ライセンス締結後、同大の学生が化粧品の企画に挑戦し、同社の「低エネルギー製造技術」を活用するとともに、大学周辺地域の活性化も目標とする、環境負荷の少ないサステナブルなハンドセラムの開発を実現。
今後も同大学は研究・教育活動の一環として、同技術を活用した化粧品の企画・開発を継続する予定であるとのことだ。
同社は2020年3月に「WIPO GREEN」に世界で初めて化粧品業界からパートナー企業として参画。今回が技術の許諾を行った初めての事例であるという。
同社は、環境負荷に配慮した製品の研究に長年取り組んでおり、地球規模での環境課題への取り組みが一層重要となる中、それらの解決にグローバルで貢献していくためには、同社が保有する環境関連技術を広く社会で活用していくべきと考えているとのことだ。
同社が掲げる企業ミッション「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現に向け、「WIPO GREEN」も活用した世界中の環境課題の解決に向けて、同社独自の研究開発理念「DYNAMIC HARMONY」のもと、様々なステークホルダーとともにサステナブルな未来を創っていくとしている。
WIPO GREENとは
世界知的所有権機関(WIPO : World Intellectual Property Organization)は、国際的な知的財産権制度の発展を担当する国連の専門機関。
「WIPO GREEN」は、2013年にWIPOによって設立された、環境関連技術におけるイノベーションとその普及を促進するための国際的な枠組みであり、2022年2月末時点で世界の130以上の法人がパートナーとして参画している。
技術の提供者と、解決策を求める法人や個人を結び付け、環境関連技術の普及と環境課題に対するグローバルな連携とイノベーションを促進しているとのことだ。
東洋大学が企画・開発したハンドセラム “BOISEN”
今回、東洋大学の「TOYO SDGs Students Project ~SUGOMORI BOISEN project~」と称するプロジェクト内の環境に配慮した化粧品の企画・開発において、コロナ禍で巣ごもり生活が増えたと言われる若年層世代に向け、ハンドセラムの企画・開発を実施。
資生堂の「乳化化粧品の低エネルギー製造技術」を生産工程に活用するだけでなく、大学周辺地域の活性化も目標に、同大学の板倉キャンパス近くの群馬県館林市の名産品であるボイセンベリーから抽出したエキスを配合したという。
開発品“BOISEN”は3月23日に行われた同大学の卒業式の日に卒業生や大学関係者など約500名に配布。
資生堂グローバルイノベーションセンターにおいても、同企画を推進する東洋大学 北脇秀敏教授から、同社技術知財部部長 木村友彦へ、開発品の贈呈が行われたとのことだ。
資生堂がWIPO GREENデータベースに掲載している許諾可能な特許権
同社は「乳化化粧品の低エネルギー製造技術」、「濃縮化により、製造・運搬のためのエネルギー負荷を低減する技術」、「優れた洗浄力とすすぎ時の節水の両立を図る技術」を「WIPO GREEN」データベースに登録し、許諾可能であることを表明している。
これらの技術は、渇水や、地球温暖化の主な原因の1つであるCO2排出といった、環境課題解決に向けた取り組みに貢献すると考えているとのことだ。
今後も、環境課題解決に向け、社会への貢献性の高い技術を本データベースに登録していくとしている。