理系外国人留学生の人材紹介を強みとするオリジネーターは、同社が運営する外国人留学生就職情報サイト「リュウカツ®」登録者を対象に、日本での就職活動に関するアンケートを実施し、結果を発表した。

日本での就職を考えている外国人留学生は、日本特有の就職活動の制度や習慣に戸惑い、なかなか内定をもらえないケースが見受けられるという。

実際に日本で就職活動を経験した外国人留学生がどのようなことを感じているか、同アンケートを通して明らかとなったとのことだ。

【外国人留学生の日本での就職活動の状況について】

Q1.就職活動の開始時期
就職活動の開始時期は、「卒業の1年~6か月前」が3割超の33.6%と最も多く、次いで「卒業の1年6か月~1年前」が2割超の22.3%となった。

海外では一般的に卒業後に就職先を探し始めるが、日本での就職活動は、外国人留学生も日本人学生とほぼ同時期に動いていることがわかったという。ただし、一般的な日本人学生の開始時期と比べると遅い傾向にあるとのことだ。

就職活動の開始時期

Q2.就職活動の期間(休止していた時期含む)
就職活動の期間(休止していた時期含む)は、「1~3か月間」が25.2%で最も多く、次いで「4~6か月間」が23.3%となった。

約1/4の25.2%が「1~3か月間」の短期で就職活動を終わらせていることがわかったとしている。

.就職活動の期間(休止していた時期含む)

Q3.エントリーした業種(複数選択)
エントリーした業種は「IT・情報通信」が最も多く、38.2%で4割近くとなり、次いで「商社・貿易」が32.9%、「サービス」が29.9%という順になったとのことだ。

エントリーした業種

Q4.就職活動でやったことの中で、企業選びの参考になったこと・役に立ったこと(3つまで選択)
就職活動でやったことの中で、企業選びの参考になったことや役に立ったことにおいては、「就職情報サイトで情報収集」(46.2%)と「就職情報サイトに登録」(42.5%)が、3位と約2倍の差をつけて上位となった。

多くの外国人留学生が就職情報サイトに登録・情報収集をして、企業選びに活用していることがわかったとしている。。

就職活動でやったことの中で、企業選びの参考になったこと・役に立ったこと

【インターンシップ参加状況について】

Q5.日本でインターンシップに参加した企業の数
インターンシップに参加した企業の数を質問したところ、6割超(42.5%+12.6%+4.0%+5.0=64.1%)がインターンシップに参加したことが判明。企業の数を見ると、「1~3社」が最も多く、4割超の42.5%となった。

日本でインターンシップに参加した企業の数

Q6.日本でインターンシップに参加した企業の業種(複数選択)※Q5でインターンシップに参加したことのある人のみ回答
日本でインターンシップに参加した企業の業種については、「IT・情報通信」が25.4%、「商社・貿易」が23.3%、「電機・精密」が22.8%、「サービス」が19.7%の順に多い結果に。

Q3のエントリーした業種は、「IT・情報通信」が38.2%、「商社・貿易」が32.9%、「サービス」が29.9%の順だったことから、エントリーした業種の企業のインターンシップに参加していることがうかがえるとしている。

日本でインターンシップに参加した企業の業種

【内定および企業選びの決め手について】

Q7.内定を得た後も、就職活動を続けたか?(日本企業から内定を得たことがある人のみ回答)
内定を得た後も就職活動を続けたかどうかについては、内定を得た後も就職活動を「続けた」(49.5%)と「終了した」(50.5%)がほぼ同数となり拮抗する結果に。

.内定を得た後も、就職活動を続けたか

Q8.内定を得た後も就職活動を続けた理由は?(Q7で「はい」と回答した人のみ)
内定を得た後も就職活動を続けた理由として、「志望企業の選考が続いていたため」と「より自分に合う企業を探すため」が同数の45.2%で1位になったとのことだ。

内定を得た後も就職活動を続けた理由

Q9.企業選びで決め手となったこと(就職する企業が決まった・既に就職している人のみ回答)
企業選びで決め手になった理由の1位は、「給料水準が高い」で38.3%、2位が「職場環境や社風が合う」で37.0%、3位が「福利厚生が充実している」で36.1%という結果となり、この3つはほぼ同数となったとのことだ。

企業選びで決め手となったこと

日本企業の選考(採用活動)について】

Q10.日本企業の選考(採用活動)に関して、改善してほしいこと
日本企業の選考に関して、改善してほしいことを調査したところ、1位「選考プロセスの複雑さ」(54.8%)、2位「適性検査」(47.2%)、3位「面接の回数が多い」(46.5%)という結果になり、日本特有の選考プロセスに戸惑う外国人留学生が多くいることがわかった。

また、「就職活動の開始時期が早い」という回答が23.6%であったが、近年、新卒採用企業の早期選考が一段と進む中、同アンケートに回答した外国人留学生が多くエントリーしている「IT・情報通信」の企業は特に早いと言われているため、学業と並行して就職活動を行うことに苦戦する様子がうかがえたとしている。

Q11.日本企業の選考(採用活動)で、疑問に感じたこと
以下、質問への回答を一部抜粋

<新卒採用・外国人採用などについて>
●一気に同じ時期に就職しないといけない理由が意味不明
●新卒採用より中途採用がかなり少ないこと
●具体的な仕事内容が提示されないけど採用する

<採用基準について>
●学校で学んだ知識と関係ない、人柄で決めること
●学生の本分は勉強だが、採用活動は学業以外の経験を重視する傾向。
●外国籍採用の目的の一つは多様性を高めるためだが、採用活動中の採点基準は日本人と同じことがおかしい。日本人らしい外国人を求めていると感じた。

<適性検査について>
●性格の適性検査のとき、知らない日本語ばかりで、しっかり答えられなかった。
●留学生に対して、SPIテストで一般常識と国語の問題を出すところ。

<面接について>
●言い方が遠回しで曖昧すぎて、意味不明な時があった。より直接的であれば分かりやすいと思う。
●日本語だけで表現するのは難しいし、ほとんどの面接官が英語を話せない。
●エントリシートに書いた内容が全然聞かれなかった。

<服装・身だしなみについて>
●みんなパンプスを履くこと(女性)
●スーツは高いが、面接と入社式のときしか着ないのは本当にもったいない。
●女性に化粧についての要求

<残業について>
●「残業がどれぐらいありますか」と聞いてもはっきり答えてくれない。残業があることが当然であれば、公開しても良いと思う。
●残業の時間が書いてあること

<採用結果の通知について>
●選考の合格と不合格の理由を明確に教えてくれないところ。
●サイレント祈り(※)は本当に失礼※不採用に関して企業から何も通知がないこと

Q12.日本企業の選考(採用活動)に関して、良いと思うこと(複数選択)
日本企業の選考に関して良いと思うことについては、1位は「仕事経験がなくても採用される」で49.8%、2位「企業との様々な接点(説明会やインターン等)があり、企業理解が深まる」が40.5%、3位「選考プロセスがしっかりしているので、じっくり取り組める」が32.2%という結果に。

外国人留学生にとって、新卒採用が多い日本の企業は、仕事の経験がなくても採用されるチャンスがあるため、魅力的に感じているようだと同社は考察した。

また、Q10の日本企業の選考(採用活動)に関して改善してほしいことでは、「選考プロセスの複雑さ」(54.8%)が1位となったが、その一方で、「選考プロセスがしっかりしていて、じっくり取り組める」ことが良いと捉える外国人留学生も3割を超える32.2%いることがわかったとしている。

日本企業の選考(採用活動)に関して、良いと思うこと

Q13.就職活動を通じて接した企業の中で、魅力的な企業だと思ったこと(自由記述)
以下、質問への回答を一部抜粋。

<面接>
●面接の質問に対して優しい言葉で説明してくれた。
●面接官から仕事に対する情熱を感じたこと
●一次面接後、実際の現場で活躍している方に質問ができるように特別に機会を用意してくれた

<OB・OG訪問、インターンシップ>
●OB訪問を通じてHPで書かれていない情報など手に入れた。
●コロナが流行っている中でも少人数で対面インターンシップに参加できる企業があり、オンラインイベントより社内の雰囲気などが見られて良かった。
●限られた時間でワークと複数の若手社員・中堅社員との座談会ができ、その企業の業務内容や社風などが理解できた。インターンシップのおかけでミスマッチがなくなると実感できたので、とても魅力的だった。

<人事担当者>
●人事の方が優しく、心強かった。新卒なので、経験やスキルはあまり聞かれず、性格が重視されるのは、日本の就職活動の良いことだと思う。
●採用可否にかかわらず、人事の方がしっかりフォローしてくれた。
●人事の人が仕事の内容だけじゃなくて求職票に書いてないことまで丁寧に教えてくれたこと
●人事担当者がランチに誘ってくれた。

【外国人から見た日本の企業について】

Q14.日本の企業で働いてみて、商習慣やビジネスマナーなどで疑問に思うこと・良いと思うこと(日本の企業で働いている・働いたことのある人のみ回答)
以下、質問への回答を一部抜粋。

<疑問に思うこと>
●ビジネス文書や電話対応など、必ずクッション言葉を入れないといけないこと。
●尊敬語と謙譲語を使ったら逆に交流しにくい
●曖昧な言葉が多い
●何にでも送付状がいる
●当たり前のように残業させる
●カタチにこだわりすぎるため、無駄が多い
●ルールに柔軟性がない
●仕事の効率ではなく、仕事の時間だけ重視している
●会議が長い。会議をしても結果が出ない場合が多い
●急ぎの用件なのに、報告しないといけない人の数が多くて効率が悪い。
●課長など偉い人はジョブローテーションで課長になり、実際はその仕事の内容に関する知識がゼロ
●上下関係が厳しい、重視しすぎる
●仕事とプライベートをはっきり区別していないこと。休暇を取ったはずの同僚が普通にメールに返信することや、仕事が終わってから電話がかかってきて、出なかったら注意される。
●スケジュールが厳しく、すでに多くのプロジェクトを抱えていても仕事を断ることができないこと。

<良いと思うこと>
●新社員の教育がいい
●ボーナスと給料の上がりはちゃんと出る。必死に貢献すれば、認められること。
●制服があるところが多い気がする。服に悩まなくてよい
●挨拶とか言葉づかいがしっかりしていて、わからないことはすぐ助け合う。日本人の優しさには感動する。
●日本のビジネスマナーは、相手を尊敬し、配慮していると感じる。そうでもない国は学ぶべきだと思う。