エムスリー、NOBORIおよびPSPは、医療AIプラットフォーム事業の推進を目的とした合弁会社であるエムスリーAIの設立に関して合意したことを発表した。

1.背景および同件の概要

日本国内ではAIを利用した画像診断支援が保健医療分野における重点領域として挙げられており、臨床現場でのAI導入が拡がり始めている。

エムスリーは、2017年にAIラボを設立し、画像診断をはじめとしたAI医療機器の開発支援など先端医療分野での事業を推進してきた。

PSPは、医療用システムの開発・販売および医療関連のネットワークシステムサービスを提供しており、特に画像診断関連のシステム、ソフトウェアで顧客から高い評価を得ているという。

また、PSPとの合併を予定しているNOBORIは、医療関連のソフトウェア開発・インテグレーションおよびクラウドサービスの提供を行っており、クラウドPACSにおいて70%以上の国内最大シェアを誇っている。

エムスリーは、AIの診療現場への流通を加速させることを目的として2020年にNOBORIと事業提携契約を締結し、医療AIプラットフォーム事業を共同で推進してきた。

今回の合弁会社設立により、エムスリーならびに統合後新会社であるPSPは、両社の持つ強みを活かし、医療AIプラットフォーム事業をこれまで以上に強力に推進するとのことだ。

更に、合弁会社設立と並行して、統合後のPSPをエムスリーの持分法適用関連会社とすることで、同社とのより強固な提携関係を構築するという。

これらの取組みにより医療AIの臨床現場への流通を加速し、医療現場のDX化を推進することで、医療に向き合う医師への安心・安全の支援、そして効率的な医療の実現を通じて社会に貢献していくとしている。

2.エムスリーAIの事業概要

病院からクリニックまであらゆる医療機関において多様な医療AIを利用できる仕組みをプラットフォームとして提供するという。AIは、画像診断支援領域を中心に製品ラインナップを構築しており、部位(頭部、肺など)ごとの複数疾患に対して、使用したいAIを選択して利用することができる。

導入においては、エムスリーのエッジサーバーを設置することで、PACS(医療用画像管理システム)などの院内システムやモダリティメーカーを問わずに利用が可能となるという。

2020年5月のサービスローンチ以降、既に約200の医療機関で利用されており、100万検査以上の解析を行ってきた。今後、更に優良なAIを取り揃え、多くの医療現場からの期待に応えることができるよう事業を推進していくとしている。

3.エムスリーAIの会社概要

–会社名:エムスリーAI
–代表者:杉原賢一
–資本金:3.5億円(資本準備金含)
–出資比率:エムスリー60%(エムスリー連結子会社)、PSP(統合後新会社)40%

4.今後の予定

エムスリーAIは2022年4月1日の営業開始を予定。また同日エムスリーは、統合後のPSPを持分法適用関連会社とする予定であるとしている。