ダイキン工業は、同社独自のストリーマ技術により新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株であるアルファ株、ベータ株、ガンマ株が99.9%以上、デルタ株が99.8%不活化することを、大阪大学微生物病研究所 感染機構研究部門 ウイルス感染制御分野の塩田達雄教授および佐々木正大助教と共同で実証したと発表した。
同社は、2004年よりストリーマ技術の効果検証として、ウイルスでは鳥インフルエンザウイルス(A型H5N1)やRSウイルス、マウスノロウイルス、細菌では大腸菌や緑膿菌、アレル物質ではスギ花粉やカビ・ダニのフンや死骸など60種類以上を公的機関にて実証してきたという。
2020年7月には新型コロナウイルスの従来株に対して99.9%以上不活化することも実証しています。今回新たに、ストリーマを4時間照射することで、新型コロナウイルスの変異株であるアルファ株、ベータ株、ガンマ株が99.9%以上、デルタ株が99.8%不活化することが確認できました。
なお同実証は、試験用ストリーマ発生装置を用いた試験の結果であり、実機・実使用環境での効果を示すものではありません。
試験結果
ストリーマを照射してから4時間後のウイルスは、自然減衰と比べて、アルファ株、ベータ株、ガンマ株が99.9%以上不活化され、デルタ株が99.8%不活化されたことが確認できた。
同実証試験の説明動画
ストリーマ技術の特長や同実証試験の実施方法や結果について、動画でも分かりやすく解説しているという。
評価方法
実証試験には、新型コロナウイルス変異株のhCoV-19/Japan/QHN002/2020株(アルファ株)、hCoV-19/South Africa/KRISP-EC-K005321/2020株(ベータ株)、hCoV-19/Japan/TY7-503/2021株(ガンマ株)hCoV-19/USA/PHC658/2021株(デルタ株)を使用した。
BSL-3施設内の安全キャビネットに約31Lのアクリル製ボックスを2個置き、一方にストリーマ放電装置を設置。
両ボックス内に6ウェルプレートを乗せたシーソーシェーカーを置き、プレートの各ウェルにウイルス液0.5mlを入れ、シーソーシェーカーで攪拌しながら一方の6ウェルプレートにストリーマ照射を行った。
1,2,4時間後にウイルス液を回収し、Vero E6/TMPRSS2細胞を用いてTCID50法によりウイルス価を測定。
ストリーマ技術について
ストリーマ技術は、2004年に同社が実用化したストリーマ放電により有害物質を酸化分解する技術。
プラズマ放電の一種であるストリーマ放電は、それまで困難とされていた「高速電子」を安定的に発生させることに成功した画期的な空気浄化技術で、一般的なプラズマ放電(グロー放電)と比べて、強力な酸化分解力が得られるとのことだ。
そのため、ニオイや菌類・室内汚染物質のホルムアルデヒド等に対しても持続的な抑制効果があるとしている。
同社はこれまでにも、鳥インフルエンザウイルス(A型H5N1)やインフルエンザウイルス(A型H1N1)、マウスノロウイルス、新型コロナウイルスの従来株、食中毒の原因となる毒素や細菌といった有害物質に対して、大学および公的研究機関と共同で効果を実証してきた。
これまでに実証されたウイルスの試験項目
その他、細菌ではレジオネラ菌や緑膿菌など7種類、アレル物質では、スギ花粉やコナヒョウヒダニ(フン・死骸)など30種類、有害化学物質19種類を公的機関にて実証している。