KT Corporation(以下、KT)と富士通は、韓国のソウル特別市にあるKT研究開発センターにオープンRANに対応した富士通製の5G基地局を導入した検証設備を、NTTドコモによる富士通への技術協力のもとで構築し、オープンフロントホールにおける接続試験に成功したと発表した。

同検証設備により、KTは韓国の5GネットワークへのオープンRANの導入検討を推進するとのことだ。

今回の試験成功を受け、NTTドコモが富士通などのパートナー企業と推進している「5GオープンRANエコシステム」と連携し、ソフトウェア基地局(以下、vRAN)やRANインテリジェント制御部(以下、RIC)などの導入を3社共同で推進する覚書を締結し、2022年1月6日から取り組みを開始するという。

また同覚書において、3社は韓国におけるさらなるオープンRANの検証設備の構築とマルチベンダー相互接続試験での協力についても合意。

3社は今後、オープンRANのグローバルな普及をめざすとともに、市場をリードするイノベーションの創出を推進していくとのことだ。

オープンRANとは、無線基地局の仕様をオープンかつ標準化することにより、様々なベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能とする無線アクセスネットワーク(RAN)。

RANにおけるマルチベンダー構成を実現し、例えば省スペースでありながら都心の通信が集中するような場所をカバーできる小型基地局や、広いエリアをカバーできる基地局などの展開シナリオに応じた最適なソリューションの採用、そしてRANの効率的で柔軟な機器調達と構築コストの削減を可能にするという。

また、仕様をオープンにしているため、安全性や透明性の高いRANを構築することができるとのことだ。韓国では5Gモバイルネットワークの普及が進んでおり、今後さらなる5Gの需要の拡大が見込まれるという。

こうした中、KTはオープンRAN導入によるマルチベンダー化での機器調達や構築コストの削減のほか、柔軟なネットワーク構築を促進させるため、富士通とオープンRAN検証設備を構築し、2021年10月にO-RANのオープンフロントホールによるマルチベンダーの相互接続試験を実施。

同検証設備で使用された富士通製の5G基地局は、O-RANの技術仕様に準拠した基地局として、NTTドコモにより世界で初めて商用サービスに採用されたもので、富士通製の5G基地局内の親局(CU/DU)と、韓国中堅ベンダーの5G基地局内の無線子局(RU)との接続検証および、エンドツーエンドの通信試験を行い、O-RANの技術仕様に準拠した動作を確認。

富士通はKTへの5G基地局の納入および検証サポートを担い、NTTドコモは富士通へのマルチベンダー相互接続試験に関する技術サポートを行ったという。

KTは将来的にオープンRANに対応したvRANやRICの導入に向けた検証設備の拡張も行う予定であるとしている。今後、「5GオープンRANエコシステム」の活動の一環として、3社連携して取り組むことも検討していくとのことだ。