パルコは、HARTiと、NFT技術を活⽤したアーティストインキュベーションの実証実験を検討・開始するために、業務提携契約を締結したと発表した。
パルコは、アート・ファッションをはじめとしたカルチャーのインキュベーションを通じて、社会に新しい価値を創出することを目指し、HARTiは国内最大級の現代アーティストのプロダクション事業を通じて、新しい⽂化・芸術市場のエコシステム創造を⽬指しているという。
同提携により、リアル空間とNFTを連動した新たな体験価値の創出、トークンを活用したコミュニティ構築、アーティストへの新たな価値還元など、アートを活⽤した体験価値向上を目指し、NFT活用の実証実験を開始する予定とのことだ。
■⽇本のアート市場は世界的にポテンシャルが⼤きい
2020年の⽇本国内における美術品市場規模は2,363億円を記録し、前年⽐8.4%減とコロナ禍でも急激な市場減退は⾒られない⼀⽅で、世界の美術品市場の市場規模は501億ドル(約5兆4,720億円)を記録し、中国・⽶国・英国の3カ国で総流通額の約81%を占めているという。
⽇本の美術品市場規模は、世界シェアのほんの数%を占めているに過ぎず、経済規模を鑑みても成⻑余⼒の⾮常に⼤きい市場であるとしている。
加えて、100万ドル以上の⾦融資産を持つ富裕層の数において、⽇本は世界第3位を記録し、GDP対⽐でも⽇本国内の美術品購⼊が伸⻑し、市場規模が成⻑する余地は極めて⾼いと弊社では考えているとのことだ。
また、国内のアート取引における約7割が「ギャラリー」「アートフェア」などでの取引に限定されているため、同実証実験では「都市型商業施設」におけるアート販売の可能性を検証するとしている。
■NFTの登場と想定されるインパクト
ブロックチェーン技術の⼀つであるNFTがアートマーケットに与える将来的なインパクトは⼤きく、インターネットやSNSが現在アート市場のオンライン化を助けているように、3〜5年以内に世界的に巨⼤な市場となることが予想されるという。
また、トークンエコノミーの成⻑は本質的に「共感型」「コミュニティ型」で⾏われ、これは従来の権威に基づく「トップダウン型」のアート市場に加えて、⺠主的に価値形成が⾏われる「ボトムアップ」型のマーケットが創造される可能性があるという。
NFT作品は販売価格の透明化や来歴証明の可視化、購⼊に関するユーザー体験において、特にミレニアル世代やZ世代に広く受け⼊れられていることから、既存のアート産業における情報の⾮対称性を解決する可能性があるとしている。
現在、⽇本は世界40位を下回るアートマーケットの市場規模だが、NFTのような新しいデジタル技術を受け⼊れ市場の健全な発展に様々なキープレイヤーが関わることで、⻑期的に既存の現代美術市場に加えて⼤きな市場を創造することが出来ると考えられるとのことだ。