Amazonは米国、フィンランド、ドイツ、イタリア、スペイン、英国における、実用規模の風力/太陽光発電プロジェクト18件の追加を発表した。

これにより、2021年時点で合計5.6ギガワット(GW)の調達容量を見込んでいるという。現在、Amazonは世界全体で274件の再生可能エネルギープロジェクトを進め、2025年までに事業運営の100%を再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げている。これは当初目指した2030年よりも5年前倒しのスケジュールであるとのことだ。

新たに加わった実用規模の風力/太陽光発電プロジェクトにより、Amazonによる再生可能エネルギーの電力生産能力は合計12GW超となり、全プロジェクトのフル稼働後は1時間あたり3万3,700ギガワット時(GWh)、つまり米国の300万世帯分の年間消費電力量に相当する出力が可能になる見込みであるという。

これらのプロジェクトによって、Amazonの自社オフィス、フルフィルメントセンター、そして世界全体で数百万のユーザーをサポートするアマゾンウェブサービス(AWS)のデータセンターに再生可能エネルギーが供給される。

また、すべての消費者向けEchoデバイスで使用される電力量に相当するクリーンエネルギーを生産するというAmazonの気候変動対策に関する誓約に対する後押しとなるとのことだ。

これらのプロジェクトで生産されるクリーンエネルギーの総量は、米国内を走る車300万台分の年間排出量に相当する、約1,370万メートルトンの炭素排出削減になるとしている。

Amazonのワールドワイド・サステナビリティ担当バイスプレジデントKara Hurst(カラ・ハースト)は次のように述べている。

「Amazonでは、炭素排出量の削減と気候変動への対処に向けて、迅速かつ慎重に進んでいます。世界規模で行っている再生可能エネルギーへの大きな投資は、パリ協定よりも10年早い2040年までにCO2排出実質ゼロの達成を目指すという当社の気候変動対策に関する誓約を守るための重要なステップです。また再生可能エネルギーのプロジェクトは、新たな投資とグリーンジョブ(緑の雇用)を生み出し、世界各地のコミュニティで電力システムの脱炭素化を推進しています」

なお、今回の発表を受け、Amazonは世界最大の再生可能エネルギー購入企業として、実用規模の風力/太陽光発電プロジェクト105件と、工場施設や店舗の屋根に設置された太陽光発電169件のプロジェクトを含め、世界全体で274件のプロジェクトに携わることとなった。

今回発表となった新たな風力/太陽光発電プロジェクト18件の詳細は以下の通り。

米国での8件の新規プロジェクト:
Amazonは、アリゾナ州とジョージア州で初となるAmazonの太陽光発電プロジェクトと、オハイオ州、テキサス州、バージニア州での追加プロジェクトを含め、米国で1GW超の電力を生産する実用規模の太陽光発電プロジェクトを追加。

合算すると、Amazonは米国内で行う62のプロジェクトを通じて、6GW超の再生可能エネルギーの生産が実現するという。

エネルギー貯蔵ストレージと組み合わせた2例目の太陽光発電プロジェクト:
Amazonのアリゾナ州で2例目となるエネルギー貯蔵ストレージと組み合わせた太陽光発電プロジェクトにより、日光が十分に当たらない時間帯でも、需要が最大に高まる期間に合わせて太陽光発電が可能に。

この300メガワット(MW)の太陽光発電プロジェクトは、150MWバッテリーのエネルギー貯蔵ストレージシステムとペアになっており、Amazonのバッテリー貯蔵ストレージプロジェクトとしては220MWの規模となる。

北欧で4つの再生可能エネルギープロジェクトを新たに追加:
フィンランドで4つの風力発電プロジェクトが加わり、158MWの発電力が追加となった。これにより、再生可能エネルギーのポートフォリオは北欧全体で合計950MWになる。

イタリア、スペイン、北アイルランドでの追加プロジェクト:
イタリアで実施されるAmazonの新たな太陽光発電プロジェクトは、この国で3例目のプロジェクトとなり、すでに実現している66MWに加え、40MWが追加。
スペインでは、Amazonの新しい太陽光発電プロジェクト4件を合わせ、630MW超の電力が供給される。
北アイルランドの風力発電プロジェクトによってAmazonのポートフォリオにもたらされる電力量は、アイルランド全島で245MW、英国全体では545MWを超える風力発電となる。
合算すると、Amazonは34プロジェクトを通じて、3.5GW超の再生可能エネルギーの生産が可能となり、これは欧州最大の再生可能エネルギー調達容量となるとのことだ。

AmazonとGlobal Optimismは2019年に、気候変動対策に関する誓約「The Climate Pledge」に共同調印した。この誓約には現在、Best Buy、IBM、Microsoft、PepsiCo、Siemens、Unilever、Verizon、Visaをはじめ、200社を超える企業が署名しているとのことだ。

Amazonはこの目標を達成するために、当初目標とした2030年よりも5年前倒しで運営に必要な電力の100%を再生可能エネルギーで賄うための道筋を確立するという。

Amazonの出荷全体でネットゼロカーボンを目指す「Shipment Zero」ビジョンの実現、配送用にこれまでで最大の発注台数となる10万台の電気自動車を調達するといった実際の事業活動を手段とし、The Climate Pledge基金を通じた脱炭素化サービス/ソリューション開発への20億米ドルの投資によって、事業全体で引き続き炭素排出量削減に取り組んでいくとのことだ。