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YouTubeは、英国の独立系コンサルタント会社であるOxford EconomicsにYouTubeの経済的、文化的、社会的影響の調査を依頼し、その日本の結果を発表した。
Oxford Economicsの「YouTube Impact Report」によると、2020年、YouTubeは、2,390億円を日本の国内総生産(GDP)に貢献し、75,970人のフルタイム雇用を創出。
Oxford Economicsでは、YouTubeが社会に与える影響の全体像を把握するための定性的・定量的な分析において、4,000人を超えるユーザー、1,080人以上のクリエイター、500以上の事業者を対象に3回の匿名調査を実施。
調査から得たデータと公式統計を用いて、YouTubeのクリエイターエコシステムの経済的な影響を雇用やGDPへの貢献度の観点から分析したという。
YouTubeクリエイターは、独立した「クリエイティブ起業家」、メディア企業、音楽業界にかかわらず、YouTubeを介して直接生み出される収入(広告収入やライセンス料など)から収益を得ることができるが、経済効果はクリエイターの収入だけに留まるものではないという。
クリエイターは国内企業からYouTube動画の制作に必要なものを購入するため、その経済効果は広範囲に波及している。例えば、DIYや料理動画を制作するYouTubeクリエイターは、撮影のために材料や備品などを調達。
その他にも撮影機材や音響機材を購入したり、編集・制作スタッフを雇用することも必要であるという。加えて、サプライチェーンにおけるクリエイターや被雇用者による消費は、経済や地域社会にさらなる影響を与えているとのことだ。
更に、YouTubeは、クリエイターがYouTube以外でも収益を上げるきっかけを創出。例えば、クリエイティブ起業家は、ブランドと提携したり、YouTubeでの活躍をもとに自身のグッズ販売をすることもできる。
こうした「プラットフォーム外」での収益は、クリエイター自身、被雇用者、国内サプライチェーン全体に経済効果をもたらすとのことだ。
YouTubeクリエイターについてわかったこと
YouTubeからの収益で独立したクリエイターとして生計を立てている「クリエイティブ起業家」がYouTubeで活躍している。
こうしたクリエイター達は、プラットフォーム内外で商業的成功を収め、YouTubeが提供する、誰しもが発信できる柔軟性と機会を活用。調査結果には、こうしたクリエイターの存在が明確に反映されているとのことだ。
- 10万人以上の登録者を持つチャンネルが5,500以上となり、前年比で45%増加。(YouTube調べ)
- クリエイティブ起業家の69%が、「YouTubeがビジネスの目標達成にプラスの影響を与えた」と考えている。
- クリエイティブ起業家の64%が、「YouTubeによって、自分のニーズに合った方法で仕事をする機会が得られた」と考えている。
- 2021年6月時点で、日本国内で100万円以上の収益を上げているYouTubeチャンネル数が前年同期比で50%増加。(YouTube調べ)
中小企業にとってYouTubeは重要なツール
自社のチャンネルを通して、戦略的な広告出稿やYouTubeでビジネスに役立つ情報の収集など、企業は、売り上げを伸ばし、顧客とつながり、競争力を高めるためにYouTubeを活用しているという。
- YouTubeチャンネルを持つ中小企業の51%が、「ビジネスの成長を促進するうえで、YouTubeが戦略的パートナーになっている」と考えている。
- YouTubeチャンネルを持つ中小企業の58%が、「YouTubeは顧客に関する理解を深めることに役立った」と考えている。
- YouTubeを使用する中小企業の54%が、「YouTubeで簡単に情報にアクセスできることで、従業員の生産性が向上した」と考えている。
- YouTubeチャンネルを持つ中小企業の52%が、「YouTubeは世界中の新しい視聴者にリーチすることに役立っている」と考えている。
日本の文化を世界に発信
日本のクリエイターは、地元の声を伝え、地元で制作したコンテンツを宣伝し、日本らしさを世界に広めているという。YouTubeにより、日本のクリエイターは海外の視聴者に向けて文化を発信できるようになった。
- クリエイターの70%が、「YouTubeによってさまざまな国の視聴者にコンテンツを届けることができる」と考えている。
- 日本国内のチャンネルで作成されたコンテンツの総再生時間のうち、10%以上が海外の視聴者によるもの。(YouTube調べ)
誰でもYouTubeクリエイターに
YouTubeは、世界各地のさまざまな経歴や年齢のクリエイターに対し、従来のメディア業界では実現が困難だった、コンテンツを公開する機会を提供。このオープンなカルチャーのおかげで、YouTubeは今では多種多様なコンテンツを扱う一種のコンテンツライブラリになったとのことだ。
こうしたコンテンツは社会に対話を生み出し、新しいコミュニティを構築し、社会の変化を促進する可能性を秘めているという。
- ユーザーの74%が、「YouTubeは幅広いコンテンツが集まっている場所である」と考えている。
- マイノリティを自認するクリエイターの72%が、「多様性と革新性に優れたコンテンツを作成するようYouTubeコミュニティに応援されている」と考えている。
「学習」に関する興味深い調査結果
YouTubeにより、プライベートと仕事の両方において、日本のユーザーが幅広いスキルと知識を習得できるように。資格取得、転職などの知識をYouTubeから得ることができる。
また、YouTubeは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下において貴重な情報源となり、社会に孤立や混乱が生じる時期に人々や企業の貴重な情報源として活用されているという。
- ユーザーの83%が、「情報や知識を集めるためにYouTubeを使用している」と回答。
- YouTubeを使用する子どもを持つ親の60%が、「YouTube(子どもが13歳未満の場合はYouTube Kids)により、子ども達が自分に合う柔軟なペースで学習できている」と考えている。
- ユーザーの68%が、「実践的なスキルをみがくためにYouTubeを使用している」と回答。
- YouTubeを使用する学生の50%が「課題や個人的な学習を補助するためにYouTubeを使用している」と回答。
- ユーザーの64%が、「COVID-19拡大が始まって以来、YouTubeが役に立っている」と考えている。
YouTubeのクリエイターエコシステムの影響についてのImpact Reportは、英国に拠点を置き、東京、シンガポールなどに支店を持つ独立系コンサルタント会社のOxford Economicsにより作成され、すでに米国、ドイツ、フランス、英国、オーストラリア、韓国でも同様の調査が発表されている。今回の日本の調査結果は、他国の調査に続くもの。
Impact Reportの発表と同時に、YouTubeをユニークな方法で、一視聴者として、また、コンテンツ提供者として活用している日本各地の101組のユーザーやクリエイター、そして企業の人々の物語を公開している。
Oxford Economicsについて
Oxford Economicsは、海外展開するイギリスの企業および金融機関に経済予測やモデリングを提供するために、1981年にオックスフォード大学のビジネスカレッジとの商業ベンチャーとして設立された。
それ以降、同社は世界の主要な独立系コンサルタント企業のひとつとなり、200か国、250の産業部門、7,000の都市および地域に関するレポート、予測、および分析ツールを顧客に提供しているとのことだ。
イギリスのオックスフォードに本社を置き、ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト、シンガポールに地域拠点を持つOxford Economicsは、250名を超えるプロのエコノミスト、産業の専門家、経済に特化した編集者を含む常勤スタッフ400名を雇用。
同社のグローバルチームは、計量経済モデリングから、シナリオ策定、経済効果の分析、市場調査、ケーススタディ、専門家パネルおよびウェブ解析など、幅広い分析テクニックや思想的リーダーシップに関する能力を備えている。
Oxford Economicsは、企業、金融機関、および政府における意志決定者や思想的リーダーにとっての主要なアドバイザー。
そのクライアントベースは、現在1,500を超える、主要な多国籍企業や金融機関、主要政府機関および業界団体や一流大学、コンサルタント会社、シンクタンクなどの国際的な組織で構成されているという。