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世界最大級の旅行コミュニティプラットフォームのAirbnbは、米国時間11月9日、Airbnb 2021冬季アップグレードを発表、今後さらに変化する旅行者のニーズに対応するための50件以上に及ぶ各種イノベーションとアップグレードを追加すると発表した。
同時に、海外5か国で実施した7,500人の消費者調査を発表し、現在グローバルで見られるAirbnbでの旅行実態について明らかにしたとのことだ。

■全サービス機能50件以上のイノベーションとアップグレードにより、世界的な旅行需要の変化に対応
●Translation Engine
これまでにない先進的な翻訳テクノロジーを導入
●アクセシビリティ機能・設備チェック
アクセシビリティ対応の機能や設備の内容が100%正確であるかどうかAirbnbが確認
●さらに柔軟な検索
最大12か月先まで検索して、さらにユニークな宿泊先を見つけることが可能に
●確認済みWi-Fi速度
新しい測定ツールの導入で、リスティングのより正確なWi-Fi通信速度が確認可能に
●よりスマートな「旅行」タブ
旅行に必要なすべての詳細を一箇所にまとめた「旅行」タブのデザインを一新
●「スーパーホストに質問しよう」の拡張
新規ホストと地域に住むスーパーホストをマッチングする機能を導入。経験豊かなホストから個別のサポート
そのほか46のアップグレードを行うという。
同社では今年5月、Airbnbサービスのあらゆる側面を改善するために100件以上のアップグレードを行ったという。
さらに今回、Airbnb 2021冬季アップグレードとして、50件以上の追加が実施され、ホストの人々の運用業務をサポートし、変化し続けるゲストのニーズを捉えることがより容易になるという。
世界では、私たちの生活と働き方に大いなる変革が起こりつつあるという。Zoomのようなテクノロジーは、自宅での作業を可能にし、またAirbnbはどんな家からでも仕事をすることを可能にしているとのことだ。
この新たに気づくことになった柔軟性は、私たちの移動方法を革命的に変えたという。何百万人もの人々が、より頻繁な旅行、より長い旅行、より多くの場所への旅行、さらにはAirbnbで好きなところに暮らすことができるようになったとしている。
実際、9月末の時点で、予約された宿泊日数の20%は1か月以上の長期滞在であり、半分近く(45%)は少なくとも1週間の滞在であったとのことだ。
Translation Engine
国境を越える旅行が回復してきた現在、Airbnbの新しい翻訳機能によって、60以上の言語でホストとゲストにシームレスな体験を提供するという。Translation Engineが、リスティングの説明やレビューを自動翻訳するため、都度ボタンをクリックして翻訳する必要がないとのことだ。
評価の高い機械翻訳評価会社でAirbnbの上位10言語について翻訳の品質調査を実施したところ、Translation Engineの翻訳を通して、99%以上のAirbnbのリスティングの質が上がったと報告されている。
Translation Engineは、何百万ものAirbnbデータポイントを使用して翻訳を改善しているため、新しいコンテンツから学習することで、時間の経過とともにさらにスマートになるとのことだ。

アクセシビリティ対応の機能・設備チェック
Airbnbは掲載されているリスティングにおいて、障害者コミュニティにとって更なるアクセシビリティ機能の正確さを確認するために、業界最高水準のアプローチを開発。
ホストはアクセシビリティ対応の機能や設備写真を送信するだけで、Airbnbの専門チームの人の目で確認される。これまでにAirbnbでは、世界中の25,000のリスティングで100,000のアクセシビリティ対応の機能や設備の正確性を確認しているとのことだ。

確認済みWi-Fi速度
高速で信頼性の高いWi-Fiは、これまで以上に重要となる。実際、今年のAirbnbのゲストは、Wi-Fi検索フィルターを2億8,800万回以上使用しているとのことだ。
ホストはAirbnbアプリから自身のリスティングのインターネット接続をテストし、Wi-Fiの速度を確認することができるという。このアップグレードにより、オンライン会議システムやお気に入りのストリーミング番組も確実に利用することができる。

さらに柔軟な検索
同社では今年の初めに「柔軟な検索」機能を導入。これは、旅行先や旅行日程に柔軟に対応できる、Airbnbを検索するまったく新しい方法であるとのことだ。
それ以来、ゲストは「柔軟な検索」機能を5億回以上使用。この機能が高頻度で使われることから本日、検索できる日付範囲を6か月から12か月に拡大することで、さらに柔軟になったとのことだ。
また、「柔軟な検索」機能を拡張して、人里離れた暮らし、スキーイン・スキーアウト、Luxe、風変わりな家、の4つの新しいカテゴリのユニークな滞在を追加しているという。

よりスマートな「旅行」タブ
旅行に必要なすべての詳細を一箇所にまとめ、「旅行」タブのデザインを一新。
よりスマートで直感的なタブには、到着までの便利なカウントダウン、チェックインの詳細、現在および今後の予約、パーソナライズされた体験の提案が含まれるようになったという。計画に費やす時間を減らし、目的地を楽しむ時間を増やすとしている。

「スーパーホストに質問しよう」の拡張
新規ホストと地域に住むスーパーホストをマッチングする機能を導入。経験豊かなホストから個別のサポートが受けられるようになったという。
「スーパーホストに質問しよう」という機能で、ホスティングに関心のある人と、最も経験豊富なホストのうちのひとりが繋がり、1対1のヒントを得ることが出来る。機能開始以来、60,000人以上の未来のホストが「スーパーホストに質問しよう」機能を使用。
今回のアップデートで、「スーパーホストに質問しよう」は196か国の30を超える言語に拡大。未来のホストは、場所、言語、リスティングに基づいてスーパーホストとペアリングできるようになったとのことだ。
追加の利点として、スーパーホストはリスティングページを完成させるためのヒントを提供し、最初の予約が成約するまで付き添ってくれるとのことだ。

日本国内では、多くのホストが活躍しているが、新型コロナウイルス感染拡大時期(2020年3月12日〜今年9月30日)に新たにAirbnbのホストとして活動を始めた人々の収入の合計が、約2,580万米ドル(約29.3億円)となり、この期間平均一人あたり約9,400米ドル(約107万円)以上の収入を得ているという。
アクセシビリティ対応機能・設備チェック、確認済みWi-Fi速度、さらに柔軟な検索、「スーパーホストに質問しよう」は、すべての人が利用可能に。Translation Engineとよりスマートな「旅行」タブは、今年末までにリリースされるとしている。
■Airbnb利用傾向で見える新しい時代の旅行の変革
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や働き方を変え、私たちの旅の仕方に大きな変化をもたらした。
それは数千万人の人々を、特定の場所で特定の時間に働く必要性から突然解放したことで、私たちは今ではどこからでも仕事をし、いつでも旅行し、より長くどこかに滞在するようになってきたとのことだ。
オンライン会議システムのようなテクノロジーが自宅での作業を可能にした一方で、Airbnbを活用することでどこでも仕事ができるだけでなく、最終的にはどこにでも暮らすことが可能になってきたと言えるとしている。
ここ数か月、世界の大手企業のいくつかは、従業員がリモートで作業するための柔軟性の向上を発表しており、より多くの企業がそうした大企業と同様のことをすると思われるという。
同社が5か国で実施した7,500人の消費者調査では、次のことがわかった。
●リモートないし時折リモートで働く社員の3分の1以上(38%)が、フルタイムで働くオフィスでの仕事に戻らなければならないなら、仕事を辞めたいと答えている。
●全回答者のほぼ3分の2(63%)が、雇用主にもっと柔軟性を期待するようになったと述べている。
●3分の1は、パンデミックが収束したのち、感染拡大以前よりも頻繁にリモートで仕事しながら、別の場所に住むことになると述べている。
●回答者の大多数は、旅行が増えそうな機会を次のように捉えている:繁忙期を避けた時間帯(55%)や期間(53%)、長い週末(55%)、そして計画は立てず気が向いた時(53%) 。
●3分の1以上(37%)が、より長期滞在する旅行をするだろうと答えている。
実際、パンデミック以降、同社のゲストの利用状況を見ると、これらの調査結果を裏付けていることがわかる。
●同社を利用した滞在の20%は1か月以上の滞在。同社の創業以来、もっともAirbnbでの長期滞在の比率が高くなっている。
●世界中の200の場所で、すでにAirbnbで暮らしている人々がいる。
●これらの場所でのゲストの宿泊の30%は、長期滞在向けの場所。
●数十以上の場所に特定してみると、最近の予約日数の少なくとも50%が長期滞在。これらには、バンコクやプーケット、ブエノスアイレス、サンフランシスコ、バージニア州のアーリントンが含まる。
●ニューヨークとロサンゼルスでは、最近の予約日数のほぼ半分が長期滞在。
●過去1年間で、10万人以上のゲストが少なくとも3か月間、Airbnbに継続的に滞在しているとのことだ。これらの10万人のゲストの約半分は、旅行中に複数の同社リスティングを利用。
●仕事の第一線から退いた可能性の高い60〜90歳のシニア世代の人々をみると、他のどの年齢層よりもAirbnbでの長期滞在を利用しているとのことだ。
また、旅行傾向として、以下のこともわかっている。
●Airbnbで予約された予約日数のほぼ半分(45%)が少なくとも1週間の滞在、ですが2年前に1週間の滞在を予約した規模は38%であったという。
●家族単位で、平日に旅行をしていることがうかがえる。世界的に、月曜日と火曜日の予約数が最も増加しているとのことだ。
●米国では、長めに週末をとる3〜4日間の長期滞在が、2019年の同時期に比べて3分の1増加。
ペット同伴とWi-Fiは旅行に必須なものに
旅行者が宿泊先を検索する際に欠かせないものはWi-Fiとワークスペースであり、リモートワークがより一般的になるにつれて、キッチンとともに「どこでも暮らす」上で重要なもの。
しかし、通常の旅行でも長期滞在のリモートワークを兼ねる旅であっても、どんな旅行者にとってももっとも大切なのは、ペット同伴の旅であるという。
世界的にここ数ヶ月で最も検索された条件は、1)ペット可、2)プール、3)Wi-Fi、4)キッチン、5)無料駐車場でした。2019年の上位5つは、1)プール、2)Wi-Fi、3)キッチン、4)エアコン、5)ペット可、であったが、ペット同伴可能なリスティングの検索は今では55%増加、Wi-Fi、キッチン、ペット可を含むリスティングの検索数はほぼ2倍(95%増加)となっている。
一方で長期滞在の旅行者の間でも、ペット可でWi-Fiが備わっていることは、ますます重要になっているとのことだ。
世界的に、ここ数か月の長期滞在を目的とした利用者の検索条件の上位は、1)Wi-Fi、2)ペット可、3)キッチン、4)洗濯機/乾燥機で、2019年の同時期に求められた条件上位の 1)キッチン、2)Wi-Fi、3)エアコン、4)洗濯機/乾燥機、5)ペット可から、変化が見られた。
ペットを許可するリスティングの長期滞在検索は2倍以上(128%増)、ノートPCに適したワークスペースを備えたリスティングの長期滞在検索は73%増加、Wi-Fi完備かつペット同伴可の長期滞在できるリスティングの検索は、270%も増加。
旅行の現状
長期滞在、どこにでも住み、働くことに加えて、最近のデータを分析すると、現在旅行で見られている次の傾向が明らかになるという。
米国に見る今後の需要
世界中の国々が渡航制限の条件を緩和し始めるにつれて、そうした国々への関心が急増しているという。たとえば、歴史的に世界最大のインバウンド旅行市場である米国では、このようになっている。
●11月8日から米国への旅行者入国規制が緩和される発表が行われた10月15日の翌週では、予約日数は44%増加。
●今週の時点で、11月8日以降、米国の4,000カ所を超えるホストが海外からのインバウンドゲストを見込んでいるという。
●これらの旅行先で最も人気のある5つの目的地は、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、オーランド、南フロリダの大西洋岸。
●これらの旅行先に行く予定のゲストの出発地点トップ5は、ロンドン、パリ、サンティアゴ、トロント、バンクーバーであるという。
ロックダウンや渡航制限のために大切な人と離れ離れになった長い日々を過ごした今では、2019年と比較して休暇旅行への関心も高まっていることがわかる。
●今年9月末の時点で、米国では2019年の同時期よりも40%以上多くの感謝祭の週の予約があったという。
●12月の休日を前に、人々はより長期間の滞在をしていることも判明。休暇中に長期滞在を目的とした最近の予約日数は、2019年のこの時期と比較して世界で19%、米国で65%も増加しているとのことだ。
そして、この強い需要は2022年まで続くと見ているという。
●今年9月末の時点で、2019年の同時期よりも、12か月間滞在で50%以上予約日数が増えたという。
●長期滞在は同社でも最も顕著に急成長しているカテゴリーであり、家族旅行は最も伸びている旅行形態。
●同社が実施した5か国で7,500サンプルの調査では、旅行全体への関心が高く、3分の2以上(71%)が現在、来年中に旅行を予約または検討していると述べているとのことだ。
国境を越えた旅行
最も最近の渡航制限解除に関する発表の前でも、長距離および国境を越えた旅行の両方で回復が見られたという。
●2021年初頭から現在までの期間で、ゲストの利用が最も伸びたのは、自宅から3,000マイル(約4,800キロメートル)以上の旅行であったとのことだ。
●全体として、国境を越えた旅行は、今年これまで予約された総宿泊日数の20%が第1四半期に、そして27%が第2四半期に、33%が第3四半期にと着実に増加している。
●2021年10月の国境を越えた旅行の総宿泊日数は、2019年10月から80%以上のレベルに達したとのことだ。
●パンデミック期間の大部分で、ほとんどの海外旅行が出来なかったにもかかわらず、Airbnbのさまざまなバックグラウンドを持つ人々の間のつながりと、国境を越えて旅行したいという願望が消えることはなかった。パンデミックが始まって以来、ホストとゲストは1,700通りの言語の組み合わせでやりとりを行っているとのことだ。