M&A総合研究所は、全国の、M&A(買収及び売却)を検討したことがある、もしくは今後検討している経営層、及びM&A担当者150名に対して、「M&Aに関する意識調査」を実施し、結果を公表した。

75名の買い手側としてM&Aを検討した経験がある、もしくは今後検討している(個人によるM&Aは除く)経営層・M&A担当者に、2021年のM&Aに対する意識がどのように変化したかと尋ねると、コロナ禍にもかかわらず、約3割(30.7%)が「積極的になった」と回答。

「方針が変わらなかった」という回答と合わせると約8割(81.4%)にのぼった。

さらに国内における2回目のワクチン接種率が5割を超える中、ワクチン接種浸透前と比較して2021年末から2022年に向けてM&A(買収)に関してどのように考えているかという問いに対して、約4割(42.7%)が「M&A(買収)を積極的に検討したいと考えている」と回答したという。

同社は「調査の結果から、日本政府が2021年11月には希望者全員の必要回数のワクチン接種が完了することを目指すと発表する中で、今後の景気回復に期待してM&A攻勢を強めている企業が多く存在することが考えられる」と述べている。

買い手の経営層・M&A担当者に対し、2021年に買収を検討したい/している企業の業種を尋ねると、約3割(34.7%)が不動産やエネルギー、アミューズメントなどの業種を含む「サービス・インフラ」と回答。

次いで「メーカー」(24.0%)、「ソフトウェア・通信」(22.7%)と続いた。

新型コロナによる外出自粛の煽りを受け、特に小規模・中規模の小売や飲食、娯楽、交通などに関する事業者では事業の継続が困難になり、譲渡されやすい傾向にあり、一方で長期的に消費者の行動が新型コロナ発生前のように戻る可能性も示唆され、さらにワクチン接種の浸透によって景気回復への期待も高まりつつあるという。

これにより買収意欲を強める企業も多く、業界再編が起こりやすくなっていると同社は推測している。

75名の、売り手側としてM&Aを検討した経験がある、もしくは今後検討している経営層及びM&A担当者に対し、2021年の新型コロナ感染拡大により会社または事業の売却予定に影響があったかを尋ねたところ、約1割(5.3%)が「具体的に進んでいた話が破談もしくは延期になった」、約2割(24.0%)が「その他、売却にむけてネガティブな影響があったと感じる」と回答。

M&Aを検討していた企業のおよそ3社に1社が感染拡大の影響を受けていることが判明したとのことだ。

ワクチン接種の浸透後における、会社や事業売却に関する考えを尋ねたところ、「売却しやすくなることを期待している」という回答は全体の約2割を占め、売り手の5人に1人が国内景気の回復に期待していることが分かったとのことだ。

買い手の積極的な姿勢と、延期になっているM&A案件が再び進み始めることを考慮すると、ワクチン接種の浸透後には、反動でM&Aの成約件数が増加する可能性が高いと同社は述べている。

<調査概要>
名称:「M&Aに関する最新の意識調査」
調査対象者:20歳から79歳までの経営層及びM&A担当者(男女)
サンプル数:150名
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年9月27日〜2021年9月28日