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ウェザーニューズは2022年の花粉シーズンに向け、「第一回花粉飛散傾向」(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)を発表。
2022年春の花粉飛散量は、関東から西のエリアでは2021年よりも少なくなる予想であるとし、特に2021年の飛散量が多かった四国や九州南部では、前年比で半分程度になる可能性があるとのことだ。
一方、夏の天候が雄花の生育に適した条件だった北日本や北陸では、2021年よりも飛散量が多くなる見込みであり、2021年よりも症状が重くなるおそれがあるとしている。
なお、次回の「第二回花粉飛散傾向」は、12月上旬の発表を予定しているとのことだ。
<ポイント>
1. 来春の花粉飛散量は関東から西では前年より減少傾向、北日本では増加する予想
2. 2021年夏の天候:北日本では雄花の生育に適した夏、西日本ではやや不向きな夏に
3. 2021年春の飛散量増の反動で、2022年は広範囲で花粉の飛散量の少ない“裏年”に
2022年「第一回花粉飛散傾向」
<来春の花粉飛散量の傾向:関東から西は前年よりも減少傾向>
2022年の花粉飛散量は、北日本や北陸で2021年より多くなるものの、その他の多くの地域では少なくなる予想。北海道では前年比1.8倍程度、東北・北陸では1.3倍程度に増える地域もある予想。
関東から西では少なくなる地域がほとんどで、特に2021年の飛散量が多かった四国や九州南部では半分程度になる可能性がある。
平年比(2012年〜2021年の平均との比較)では並〜やや少ない地域がほとんどで、全国平均では平年の82%程度になるとみているという。
<飛散量予想の根拠:2021年夏の天候と年ごとの増減傾向>
花粉の飛散予想は、前年の夏の天候や年ごとの飛散量の増減傾向などの条件により決まるという。2022年の花粉飛散量の予想の根拠は以下の通り。
〜北日本では雄花の生育に適した夏、西日本ではやや不向きな夏に〜
前年の夏に十分な日照があり、気温が上がるほど花粉の発生源となる雄花の生育が活発になる傾向がある。これは、よく晴れた暑い夏ほど光合成が盛んになるためとのことだ。
2021年6月は梅雨前線が本州の南の海上に停滞する日が多く、北日本や東日本、西日本の日本海側を中心に日照時間が多くなった。北日本では記録的な多照となり、気温も高くなった。
7月上旬は梅雨前線が停滞して関東から中国地方を中心に大雨となったが、中旬以降は晴れた日が多く、北日本や東日本の日本海側を中心に日照時間が多くなり、北日本では気温もかなり高くなった。
8月に入ると台風や停滞する秋雨前線の影響で西日本では記録的な大雨となり、日照時間は平年に比べてかなり少なく、気温も低くなり、東日本でも日照時間が少なくなったが、北日本の日照時間や気温は平年並。
夏の天候を総合すると、北日本では日照時間、気温共に平年を大きく上回り、雄花の生長に適した天候であったと言えるという。
一方、東日本では気温が平年をやや上回り、日照時間も日本海側を中心に平年を上回ったため、雄花の生育には問題ない天候だったと考えられる。西日本では日照時間、気温共に概ね平年並から平年を下回り、雄花の生育にはやや不向きな天候となったとのことだ。
〜2022年は広範囲で花粉の飛散量の少ない“裏年”に〜
花粉の飛散量は周期的に増減し、花粉の飛散が多い期間と少ない期間が交互に訪れる傾向があるという。飛散量が多い年を“表年”、少ない年を“裏年”と呼ぶ。
ただし、夏の天候の影響で“表年”“裏年”の区別が不明確になる年もあるとのことだ。2021年は北日本の一部を除いて飛散量が前年を上回り、ほぼ全域で「表年」となったという。
2022年はその反動で飛散量が2021年よりも少なくなり、多くのエリアで飛散量の少ない「裏年」となるという見込みであり、北海道や東北北部、北陸エリアでは飛散量の多い「表年」となる見込みとのことだ。
ウェザーニューズでは、全国のウェザーニュースのユーザーと花粉の雄花の生育状況を調査する「雄花調査」の結果およびこれまで「花粉プロジェクト」で蓄積してきた花粉の観測データ、年ごとの飛散量傾向(“表年”“裏年”)、今夏の天候をもとに来シーズンの花粉飛散傾向を発表している。
なお、「第二回花粉飛散傾向」は、飛散開始時期や飛散ピークについてまとめ、12月上旬に発表予定。
ウェザーニューズの「花粉プロジェクト」は、花粉症の人々の役に立ちたいという想いで、2005年から実施しているユーザー参加型の取り組み。
全国の家庭や企業などに、独自開発した花粉観測機「ポールンロボ」を約1,000台設置し、空気中に含まれる花粉をリアルタイムに自動観測するという。
ウェザーニューズは、日本最大級の花粉観測網とこれまでの蓄積データを活かし、予報精度向上を目指すと共に、アプリの利便性を高め、花粉症の人が少しでも楽に過ごせるようサポートしていくとしている。