リクルートの住まい領域の調査研究機関であるSUUMOリサーチセンターは、すべての人の自分らしい人生を応援するため「住まいの価値」を提言・実証する研究を進めているという。

今回は住まい探しの際に新しい街の魅力に気づくきっかけや、街を選択する際の参考になればと、「住んでいる街に住み続けたいか」という“継続居住意向”に関する実態調査を実施。

上位の自治体や駅やその特徴傾向、街の魅力項目についてをまとめ、結果を発表した。

住み続けたい自治体ランキングTOP50

● 1位は武蔵野市。2位中央区、3位文京区、6位港区、8位渋谷区など50位までに23区が多数ランクイン。
● 4位逗子市、8位葉山町、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、中郡大磯町と『湘南・三浦エリア』が上位の傾向。
● 他、神奈川県では、7位横浜市西区、15位中区の『横浜・みなとみらいエリア』が上位の傾向。
● 埼玉県では21位にさいたま市大宮区、22位に浦和区など『さいたま市中心エリア』が上位の傾向。
● 14位横浜市都筑区、25位印西市、36位稲城市、39位多摩市と『郊外大規模ニュータウン』エリアも上位傾向があった。

住み続けたくなるために「住民が街を好きである」「交流・安全・発展性」「交流機会」が必要

今回の調査では、住み続けたい街の条件を探るために、街の魅力を35項目にわたって聴取。その結果、「街の住民がその街のことを好きそう」との関連が強いことが分かったという。

また「街を好きそう」との関連を探ると、顔見知りができやすい、子育て、教育環境・防災・防犯といった「安心して暮らせる環境」と、個性的な店と、街に賑わいがあり、今後の発展期待がある「賑わいと街の発展性」が重要な要素であることが見えてきたとのことだ。

さらに、街の新参者となりやすい、シングル層、20代、賃貸暮らし層が、他層と比べて、住み続けたい度が低い傾向も見えたという。

街の安心・安全を高めるとともに、街に新しくジョインする人が、自然と顔を合わせ、活動できる場づくりとその発信が重要と考えられる。

今回の上位自治体の武蔵野市、中央区、湘南エリア、代々木公園周辺などはまさにその点に秀でているとのことだ。

その他調査トピックス

都道府県別住み続けたい自治体ランキング

● 神奈川県の住み続けたい自治体ランキングでは、逗子市が1位。
● 埼玉県の住み続けたい自治体ランキングでは、埼玉県さいたま市大宮区が1位。
● 千葉県の住み続けたい自治体ランキングでは、千葉県浦安市が1位に。

ライフステージ別住み続けたい自治体ランキングでは、3つのライフステージで神奈川県逗子市が1位に

● シングル男性、シングル女性、夫婦のみ世帯で神奈川県逗子市が1位に。
● 夫婦+子ども世帯では東京都目黒区が1位。

住み続けたい駅ランキングは、東銀座が1位に

● 1位は銀座と築地の中間にある東銀座、9位馬喰町、18位東日本橋、21位人形町、24位水天宮前、27位馬喰横山など中央区の駅が多数上位に。
● 2位石上駅、3位鵠沼駅、6位片瀬江ノ島駅、7位鵠沼海岸駅、8位湘南海岸公園駅と藤沢市の鵠沼・江ノ島エリアの駅がTOP10のうち半数を占める。
● 5位みなとみらい、11位日本大通り、13位馬車道、28位高島町とみなとみらいエリア周辺の駅も上位に。
● 4位北参道、17位代々木上原、20位千駄ヶ谷、22位参宮橋、38位原宿、51位代々木公園、75位代々木八幡、100位明治神宮前など新宿御苑・代々木公園の周辺が上位に。

首都圏全体で、約70%の人は現在住んでいるの街に住み続けたいと思っている

● 「お住まいの街に今後も住み続けたいですか?」という設問に対して「そう思う」「とてもそう思う」と答えた人(以下、住み続けたいと答えた人)の割合は67.5%と、約7割の人が今の街に住み続けたいと思っている。
● 年代で見ると、年代が高い人ほど住み続けたいと答えた人の割合が高く、60代以上では75.9%になる。
● ライフステージ別では、夫婦+子ども世帯が住み続けたいと答えた人の割合が72.3%と最も高い。

住み続けたい街になるための条件を考察する

多様な顔ぶれがそろった住み続けたい街、共通する魅力とは

住み続けたい街の上位には、都心部から、郊外中核都市、郊外ニュータウンなど、さまざまな顔ぶれがそろった結果となった。

地理的条件、開発時期や街づくりの計画性など、街の個性は一つ一つ異なり、同調査では、住民がその街に住み続けたいかどうかに加え、感じている街の魅力も伺い、住み続けたいと思う街に共通する魅力とは何かを表出。

分析の結果、魅力項目35のうち「住み続けたい」に影響する要素は下記となったとのことだ。

住み続けたいという人は、「街の住民がその街のことを好きそう」と実感できている人に多い

「住み続けたい街」のキーワードは「住んでいる人の顔が浮かぶ」こと

街の住民に聞いた、街の魅力35項目のうち、「住み続けたい」と一番相関性が高かったのは、「街の住民がその街のことを好きそう」。

日々暮らしている中で住民が街を好きでいる光景が浮かぶということは、日ごろからのコミュニケーション、街の中での何気ないふれあい、お祭り、公園や広場などでのイベントでそれを実感する場があり、顔見知りが多ければ防災、防犯、子育てへの安心感にもつながるとしている。

また「街の住民がその街のことを好きそう」のポイントが高かった街で、相関性が見られたのは、上記の11項目。

「①暮らして感じる安心・安全」と「②街の賑わい、発展への期待」。①は主に行政が提供する子育て環境、防犯・防災、など、日常の暮らしを安心して送るための基盤によるもの、②は街の賑わいや発展計画など、経済活動がけん引する将来への期待であるとのことだ。

シングル世帯、20代、賃貸や社宅・寮の住民で「住み続けたい度」が相対的に低くなっている要因には、住民同士の関係性が薄いことが背景にありそうであるという。

住み続けたい街であり続けるためには、街の新参者となりやすいシングル、若い世代、賃貸暮らし層を引きつける必要があり、街の安心・安全を高めるとともに、街に新しくジョインする人が自然と顔を合わせ、活動できる場づくりとその発信が重要と考えられるとのことだ。

顔見知りがつくりやすそうな街が、住み続けたい街の上位に並ぶ

自治体ランキングで1位の武蔵野市、2位の中央区(※中央区は駅ランキングでも東銀座、人形町、日本橋など多数の駅が上位にランクイン)4位の逗子、8位葉山、あるいは駅ランキングでトップ10に5駅が入った鵠沼・江ノ島エリアなどの湘南エリア、駅ランキングで上位の代々木公園周辺エリアなどは、歩いて楽しい街で、かつイベントやお祭り、もしくは自治活動が盛んで、街で人と知り合う機会に恵まれている街が上位に来ているといえるとのことだ。