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カゴメは、同社の健康サービス事業で提供している推定野菜摂取量を表示する「ベジチェック®」と、オンラインサービス(eラーニング・野菜摂取記録アプリ)を組み合わせた「カゴメ健康サポートプログラム」を受講した人は、野菜摂取量が増加することを明らかになったと発表した。
同研究は、2020年に神奈川県に採択された「神奈川 ME-BYO リビングラボ」実証事業に基づき女子栄養大学と共同で実施し、第29回日本健康教育学会学術大会(2021年9月12日)で発表したものとのことだ。
■研究の目的
厚生労働省が推進する「健康日本21(第二次)」では、成人1日当たり野菜350gの摂取が目標とされているが、過去の国民健康・栄養調査においてこの目標が達成されたことはないという。
特に、20歳代~50歳代は60歳以上に比べて野菜摂取量が少なく、勤労世代において野菜摂取を促す必要性が特に高いと考えられているとのことだ。
同研究は、勤労者を対象として、下記4つのサービスを組み合わせた栄養教育プログラムを受講させ、野菜摂取量の増加効果を検証することを目的として実施。
1.食生活改善の動機付けを行う「カゴメ健康サポートeラーニング」
2.日々の野菜摂取やベジチェックの測定値を記録することでポイントを獲得し、メンバー間の競争を促すゲ
ーミフィケーションを取り入れたアプリ「チーム対抗!ベジ選手権®4週間チャレンジ」
3.推定野菜摂取量を数十秒で表示できる「ベジチェック®」での自己モニタリング
4.野菜飲料の提供による環境サポート
■試験方法と結果
同研究で実施した栄養教育プログラムの評価は、女子栄養大学と共同で実施。神奈川県内に事業所がある企業に勤務し、研究への参加同意が得られた男女285名(男性210名、女性75名、平均44歳)の勤労者を対象とし、無作為に下記の3群に割り付け、事前( ラーニング受講前)、事後(事前調査の5週間後)に食事調査を実施し、野菜摂取量を算出したという。
●3と4による環境サポートのみを実施した群(対照群)
●3と4による環境サポートに加え、1を受講し動機付けをした群(介入Ⅰ群)
●1、3、4による動機付けと環境サポートに加え、2のアプリを使用した群(介入Ⅱ群)
■結果
試験期間中に脱落した人を除き、結果の解析は183名(介入Ⅰ群63名、介入Ⅱ群61名、対照群 59名)で
実施。
各群の介入前後での野菜摂取の変化量を算出して群間で比較した結果、対照群(平均+16.4g/日)と比較して、介入Ⅰ群では増加傾向(平均+39.8g/日)が認められ、介入Ⅱ群では有意に増加していたとのことだ(平均+62.4g/
日)(図1)
また、介入前後の野菜摂取に関する行動変容ステージのスコア(前熟考期:1点,、熟考期:2点、準備期:3点、実行期4点、維持期5点)の変化量を群間で比較したところ、対照群と比較して介入Ⅰ群、介入Ⅱ群ともにスコアの有意な増加が認められたという(対照群:中央値2点、介入Ⅰ群中央値:3点、介入Ⅱ群:中央値4点)(図2)。
さらに、研究期間中のベジチェック®の測定頻度を群間で比較したところ、介入Ⅱ群は対照群、及び介入Ⅰ群と比較して有意に測定頻度が高いことが示されたという(図3)。
研究の結果から、野菜飲料の提供や、野菜摂取量の自己モニタリングが可能な機器「ベジチェック®」の提供による環境サポートに加え、eラーニングによる動機付けや、ゲーミフィケーションの要素を取り入れた野菜摂取記録アプリによる実行支援を行うことは、野菜摂取量の増加に効果的であることが明らかになったとしている。