愛媛県にある社会医療法人石川記念会HITO病院(HITO病院)は同県における中核病院であり、ICTを活用した業務改善や、開業医とカルテ情報の共有を進めるなど、地域医療の最適化に向けた取り組みに注力している。同病院では、新型コロナウイルス感染症の予防対策として、2020年5月からオンライン診療を開始するなど、情勢に合わせた診療体制の構築にも尽力していた。
病院内においては、待合室などの特定の場所が3密状態になりやすいと言われるが、目視による監視には限界がある。院内施設での3密を避けるためITソリューションの導入検討を進めるなかで出会ったのが、アステリア株式会社が開発・販売するAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」だ。
CO2濃度から密の状態を可視化
HITO病院では、密状態を可視化するためにカメラ画像による推論も検討したが、医療機関としてプライバシーに配慮しなければならない。そこで目を付けたのが「CO2」だ。
Gravioを提供するアステリアでは、Gravio用の3密防止ソリューションとしてCO2センサーを提供している。これらを合わせた「CO2濃度 可視化・通知統合システム」は、「人が密集するとCO2濃度が高まるという法則※」を活用して生まれたものだ。
「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)では換気回数ではなく、室内の一酸化炭素濃度(10ppm)や、二酸化炭素濃度(1000ppm)の基準を設定することで、居室の適切な換気量を確保すること」を求めている。
出典」厚生労働省WEBサイトより(2020年3月30日発表)
『商業施設等における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について』
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000616069.pdf
月額2万円で運用 安価かつ超小型なのも選ばれる理由
アステリアのCO2センサーは、10秒に1回、周囲のCO2濃度を継続して測定し、その結果をGravioに無線(Zigbee)で逐次送信している。給電にはUSBを使い、そして何より幅60ミリ、奥行き60ミリ、高さ25ミリと非常に小型なため、設置場所を選ばない特徴も備える。
Gravio CO2センサー
Gravio CO2センサーが取得するログデータ
HITO病院は、Gravioによる「CO2濃度 可視化・通知統合システム」の導入により、院内のさまざまな場所におけるCO2濃度を把握できることから、院内の「密状況」を可視化可能になった。さらに、CO2センサーとあわせてGravio温湿度センサーを利用することで、換気実施後の空調設定も最適化できるようになったそうだ。
また、Gravioは外部サービスの接続性にも秀でており、グラフツールへの連携によるデータ解析や、センサー値が基準値を超えたときにはLEDライトが点灯し警告を発してくれるようにつなげることも可能。実際、施設管理担当者は、センサーによる警告が発せられたときは、CO2濃度が適正な値に戻るまで換気などを実施しているという。
Gravioによるデータをもとにした解析(可視化、異常値の検知)
IoTソリューションは高額になりがちだが、Gravioによって月額2万円程度で実装している点も驚きだ。LINEと連携させてCO2濃度を通知させるようにもできるそうで、密を避けなければいけない施設などでは使い勝手が良さそうだ。