三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズは、独自開発の空気清浄フィルタリング技術について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を除去・不活性化できることを確認したと発表した。
同技術は、フィルターに吸着した花粉などのアレル物質を酵素と尿素の力により抑制するものであるという。
これにより、SARS-CoV-2に対する除去・不活性化に関して、今年2月に発表した酵素・尿素の液体製剤での検証に加え、試験用エアフィルターでも効果検証を完了したことになるとのことだ。
今回、一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(Q-TEC)において実証試験(試験環境で行われ、実機・実使用環境によるものではない)が実施された。
具体的には、三菱重工サーマルシステムズ製の空気清浄フィルターのろ材にSARS-CoV-2が含まれたウイルス液を接種、そのまま35℃の恒温槽に1時間静置した後、かき混ぜたものを回収し、プラーク測定法(PFU:Plaque Forming Units)によりウイルス感染価を測定。
その結果、対照試料であるSARS-CoV-2が含まれたウイルス液(1時間放置後)と比較して、空気清浄フィルターのろ材の不活性化率は99.998%となり、反応時間1時間でほぼ完全にSARS-CoV-2を不活性化できることが確認できたとのことだ。
室内空調システムに応用可能な空間からのウイルス除去・不活性化に関する研究は、室内におけるウイルス対応の検討促進に寄与するものであり、社会的にも喫緊の課題となっている。
三菱重工サーマルシステムズは、今後もこの分野における研究を続けることで抗菌・抗ウイルス技術の開発につなげ、安心して暮らせる社会の実現に貢献していくとしている。