メルカリ総合研究所(運営:メルカリ)は、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年4月から2021年3月の1年間におけるフリマアプリ「メルカリ」取引データの分析を実施。

その結果、60代以上の年間利用者数、年間購入商品総数ともに前年比約1.4倍、年間出品商品総数は前年比約1.6倍に増加していることがわかったという。

これを受け、60代以上のフリマアプリ利用が増加した背景となる意識・行動の変化を明らかにすべく『新型コロナウイルス感染症拡大に伴う60代以上の意識・行動変化とフリマアプリ利用』に関する調査を実施し、結果を発表した。

調査結果詳細

1)60代以上「メルカリ」利用者の動向

◾60代以上の一人当たり平均年間出品数は約72個で20代の約2倍

2020年4月から2021年3月における60代以上の一人当たり平均年間出品数は約72個となり、20代の一人当たり平均年間出品数約39個の約2倍であることがわかった。

20代の利用者数は60代以上の利用者数よりも多く、単純比較が難しい前提はあるものの、保有しているモノの多さに起因し、60代以上はより積極的に出品を行う人が多い可能性が考えられる。

また、60代以上の「メルカリ」取引データ分析からわかることをまとめると以下のようになったとしている。

2)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う60代以上の消費行動・意識変化に関する調査

◾新型コロナウイルス感染症拡大で、44.4%が「インターネットでの買い物」増加、73.5%が「外出を伴う買い物」減少

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費行動の変化を質問したところ、44.4%が「インターネットでの買い物」が「増加」と回答。また、73.5%が「外出を伴う買い物」が「減少」と回答。

自由回答では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費行動の変化について、以下のような回答があった。

⚫家にこもる時間が増えて内食、パソコン・携帯を触る時間が増えた。また、顔を見てコミュニケーションをする時間が減った。(60代男性)

⚫旅行、外食、映画、コンサート、舞台等に出かけなくなった。買い物も必要最小限になった。拡大前からテイクアウトやキャシュレスは利用していたが、拡大後はより多くなった。(60代女性)

⚫パソコンはある程度でき、家族もバックアップしてくれたおかげで、同年代の教員よりはるかにストレスは少なかったと感じる。何にでも対応できたので、メンタルがやられることがなかった。(60代女性)

⚫外食をしなくなったので、食事のテイクアウトやデリバリーサービスの利用が増えた。(70代男性)

これらのことから、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛などで様々な行動が制限された一方、パソコンやスマートフォンを使用する時間が増加し、インターネットを通じたWEBサービスの利用を促進した可能性が考えられるとのことだ。

◾新型コロナウイルス感染症拡大で、43.8%が「節約意識」向上

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費意識の変化を質問したところ、43.8%が「節約に対する意識」が「向上」と回答しました。

◾フリマアプリ利用目的TOP3、1位「欲しいものがお得に購入できる」2位「不要品の処分ができる」3位「リユースにつながる」

フリマアプリ利用目的を質問したところ、最多回答は「欲しいものがお得に購入できるから」(62.0%)、次に「不要品の処分ができるから」(47.8%)、「リユースにつながるから」(36.5%)という結果に。

これらのことから、新型コロナウイルス感染症拡大により「節約に対する意識」の向上が、「欲しいものがお得に購入できる」フリマアプリの利用を促進した可能性が考えられるとのことだ。

◾フリマアプリ利用後の意識変化「捨てる前に再利用を考える」が最多の67.6%

フリマアプリ利用後の意識変化を質問したところ、62.1%が「変化あり」と回答。

変化した意識を質問したところ、最多回答は「捨てる前に再利用を考える」(67.6%)、次に「将来売るために、モノを大切に扱う」(32.8%)、「趣味やファッションを気軽に楽しめる」(16.2%)となった。

これらのことからフリマアプリの活用が、日常生活におけるモノの取り扱いに関して意識変容をもたらす可能性が考えられるとのことだ。

3)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う60代以上の生活意識変化に関する調査

◾老後の不安TOP3、1位「病気・怪我」2位「体力・気力の低下」3位「生活費」
2019年3月調査と比較し、「孤独・社会とのつながりが希薄になる」が10.2%向上

老後の不安を質問したところ、最多回答は「病気・怪我」(74.5%)、次に「体力・気力の低下」(66.3%)、「生活費」(51.5%)となった。

2019年3月発表の「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査と比較すると、「孤独・社会とのつながりが希薄になる」が最も増加し、10.2%向上(2018年3月調査結果:12.0%)。

自由回答では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う意識や行動の変化について、以下のような回答があげられた。

⚫お友達と会うことができなくて寂しい。スポーツクラブやヨガ教室に行けないので、体力が落ちそうで心配。(70代女性)

⚫少し距離がある家族以外の友人、知り合いとの交流が一切なくなり、どこへ出かけるにしてもマスクに手指の消毒、体温計とかなり面倒くさく、流行前の生活には永久に戻れないのではないかと思うと気が滅入る。(60代女性)

⚫毎日の買い物はすべて子供たちにお願いし、外出を控え、スポーツジムも退会して人との接触を断つ生活になってしまった。(60代女性)

⚫子供や孫たちに会えなくなり、寂しい気持ちが募った。(60代男性)

◾フリマアプリ利用者34.8%が「フリマアプリの売買相手に親近感を覚える」

フリマアプリの売買相手に親近感を覚えるか質問をしたところ、34.8%が「覚える」と回答。

自由回答では、売買相手に親近感を覚える理由について以下のような回答が寄せられた。

⚫「こんにちは」からはじまり、「コメント失礼します」とあったり、「短い期間ですがよろしくお願いします」とあったり、はじめての方なのにいいなと思う時がある(60代女性)

⚫アプリを通して、前向きな言葉でやりとりができた時に、たかがフリマではなく、つながっているささやかな嬉しさを感じた(60代女性)

⚫お互いに気持ちよく売買ができ、それが相手の方に気に入っていただいて、喜んでいただけるととても嬉しい気持ちになります。お顔が見えないなかでちょっとした一言がとてもいいコミュニケーションになっていると感じる(70代女性)

⚫PCの色が変色しているように感じたため、質問を送ったら、日常で起こしがちなある出来事で変色してしまったとの回答があった。「それなら、こういう方法で変色した部分をもとの色に戻せますよ」と返信したところ、感謝の連絡があった。文体からも馴染みやすい方で、しばらく商品の売買から外れた会話を繰り返していた(60代男性)

通常のECでの購買とは異なり、フリマアプリ上では、売買相手とのコミュニケーションがあることから、親近感を覚えている可能性が考えられるとのことだ。

◾「終活」を意識している60代以上は66.5%、そのうち、52.4%が新型コロナウイルス感染症拡大で「終活」意識向上

終活・生前整理への意識を質問したところ、66.5%が「意識している」と回答。

フリマアプリ利用者・非利用者別に見ると、フリマアプリ利用者の71.6%、新型コロナウイルス感染症拡大中にフリマアプリをはじめた利用者の70.9%が「意識している」と回答。

一方で、フリマアプリ非利用者の57.0%が「意識している」と回答し、フリマアプリ利用者は非利用者よりも、終活・生前整理を意識していることがわかった。

終活・生前整理を意識していると回答した人に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う終活・生前整理に対する意識変化を質問したところ、52.4%が「意識が向上」と回答。

◾「終活」意識向上理由TOP3、1位「家族に迷惑をかけたくないから」2位「スッキリしたいから」3位「いつ何が起こるかわからないから」

終活・生前整理の意識が向上した理由を質問したところ、最多回答は「家族に迷惑をかけたくないから」(64.3%)、次に「モノを整理してスッキリしたいから」(59.6%)、「いつ何が起こるかわからないから」(40.1%)という結果となった。

【調査概要】
調査時期:2021年3月11日~2021年3月12日
調査方法:インターネット調査 
調査対象:全国、60代以上の男女1,236名
※フリマアプリ利用者824名(うち412名は直近1年のうちに利用を開始)、フリマアプリ非利用者412名
※グラフ内の数値は小数点第二位以下四捨五入