センシンロボティクスは、送電設備のメンテナンス業務にドローンを活用すべく、送電設備自動点検技術を開発し、実設備での検証を実施した。
送電設備のメンテナンス業務においては、定期的に作業員が鉄塔に昇って点検を行い、設備の健全性が確認されているが、工具を持って高所まで昇るために作業員の負担が大きく、また人手や時間がかかる作業でもあり、改善が求められていた。
今回、標準的な送電設備を対象に、ドローンと設備の間の安全な離隔距離を確保したうえで、設備異常が判別可能な画像を撮影するルートおよびカメラアクションを自動作成する技術を確立。
同社が保有するドローン運行制御ソフト「SENSYN FLIGHT CORE」と中部電力パワーグリッドと共同開発した送電設備自動点検技術を組み合わせることで、鉄塔(支持物・がいし)と架渉線(架空地線・電力線)を一括で自動点検することが可能となった。
なお,センシング技術を新たに搭載する等の機体カスタマイズは施さず、市場に流通している一般的なドローンを使用しているという。
また、「SENSYN FLIGHT CORE」は様々なドローン・ロボティクスデバイスに対応可能かつ、データをクラウド管理・共有することも可能。
この送電設備自動点検技術を活用することにより、作業員が鉄塔に昇ることなく、安全かつ短時間に設備の健全性を確認することが可能となり、作業環境の改善や点検コストの削減が実現できると考えているという。
【実地検証概要】
■日時 2020年6月5日~2021年2月26 計6回
■場所 中部電力パワーグリッドの77kV送電線 (愛知県知多郡阿久比町他)
■検証内容
・設備異常が判別可能な撮影条件の検証
・自動点検アルゴリズムの検討
・試作アルゴリズムでの実地検証
今後、大型設備を対象とした自動点検技術の確立も平行して進め、適用範囲の拡大を図っていくとのことだ。