楽天モバイルは、ストラスクライド大学と、完全自律ネットワークのための包括的な枠組みに関する構想の実現に向け連携することに合意したと発表した。
完全自律ネットワークとは、人間のエンジニアのようにネットワークを管理できる人工知能(AI)をネットワークシステムに組み込むことで、将来的にすべてのオペレーションをネットワークが単独でこなし、多様なニーズにも自律的に対応できるモバイルネットワークのことを指す。
楽天モバイルは、世界初の完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークを構築し、2020年4月より本格的な商用サービスを提供している。
今後、自律ネットワークを構築することで、ネットワークのメンテナンスコストを削減するほか、新機能の搭載も計画しているという。
同研究は、楽天モバイル自律ネットワーク開発本部リサーチ・イノベーション部の研究部長である今井 ピエールと、ストラスクライド大学コンピュータ情報科学科の准教授であるDr. Marc Roper(マーク・ローパー)が指揮。
Dr. Marc Roperは、ストラスクライド大学において、完全自律ネットワークを構築するために必要な進化アルゴリズムの開発と評価を進めるとのことだ。
楽天モバイル自律ネットワーク開発本部リサーチ・イノベーション部研究部長の今井 ピエールは次のように述べている。
「従来、ネットワークの監視や異常の検出、最適化、問題解決などの業務は、エンジニアによって行われてきました。
しかしながら、今後5GとIoTサービスが展開され、ネットワークに接続するデバイスとアプリケーションの数が大幅に増加すると、人の手によるネットワーク管理は現実的ではありません。
自律ネットワークは、将来の環境にネットワークを適応させる上で重要な役割を果たすものであり、ストラスクライド大学の世界レベルのチームと協力して、自律ネットワークの研究を行えることを大変嬉しく思います」
楽天モバイルは本研究において、今後2年にわたり、同大学の博士研究員2名および博士課程学生1名に対して資金援助等を行う。
ストラスクライド大学コンピュータ情報科学科准教授のDr. Marc Roperは次のように述べている。
「楽天モバイルのネットワークはすでに完全に仮想化され、クラウドネイティブであるため、進化アルゴリズムをネットワークシステムへ導入することで生じる変化に対応できると考えています。
機械学習、特に進化アルゴリズムに対する我々の独自の研究により、高性能なモバイルネットワークの効率をさらに向上させられることを期待しています。
また、本学の博士課程学生にとっても研究成果をネットワークの品質向上に役立てられることは貴重な機会となるでしょう」