ANAグループは、沖縄県とともに沖縄国際物流ハブの新たなモデルを構築すると発表した。

従来の貨物専用機を中心とした輸送モデルから那覇空港に就航する旅客便やPeachの貨物スペースを活用したモデルへと移行することで、アジアを中心にネットワークを拡大し、eコマース商品等の輸送需要に対応していくとのことだ。

ANAグループは沖縄県とともに、10年以上に渡り共同事業として沖縄国際物流ハブを構築し、沖縄県およびアジア域内の物流の発展に寄与してきたという。沖縄発の輸出貨物重量は沖縄国際物流ハブ開始以前と比較し120倍になるなど成長。

これまで沖縄国際物流ハブの航空ネットワークは主にANAの貨物専用機が輸送を担ってきたが、2020年度より新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、那覇空港発着の貨物専用機による貨物便は全便運休としている。

引き続き、新型コロナウイルス感染拡大による影響に対応するため、今回2021年度以降についても、貨物便の運休継続を決定したとのことだ。

一方、沖縄発輸出貨物においては、沖縄や全国の農水産品が増加していることに加え、工業製品の輸出も徐々に増えている。

また、近年需要が急速に拡大しているeコマース商品の物流ニーズが高まってきており、貨物の流れがより多仕向地・多頻度化・商品の小口化が進むことが想定される。そこで沖縄国際物流ハブは、多様化する利用者のニーズに応え、かつ、継続して発展可能なモデルに進化。

これまでの「ANAの貨物専用機を中心とした輸送モデル」から「那覇空港に就航する航空会社の旅客便貨物スペースを活用し輸送する新たなモデル」へ移行し、引き続き、ANAグループは沖縄県と協力し国際物流拠点形成に貢献するとしている。

沖縄国際物流ハブの新モデルでは、那覇空港に就航する航空各社の旅客便やANAグループのPeach運航便の貨物スペースを活用し、航空ネットワークを構築する。ANAは航空各社と貨物スペース利用契約を締結し、各社スペースを活用することで貨物の輸送を実施するとのことだ。

また、現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、那覇空港の国際線は各社とも運休を継続しているが、感染が収まり各社が復便するまでの間、ANAの国内線(沖縄-羽田線等)を活用し、首都圏(羽田・成田)からの国際線に貨物を搭載することを継続し、サプライチェーンを維持していくとのことだ。

■沖縄国際物流ハブ 新モデルの航空ネットワークイメージ

那覇空港に発着する多くの国際旅客便の貨物スペースを活用することで、これまで以上に、「多くの仕向地へ多頻度の輸送が可能」 「商品の小口化への対応が可能」となる。

また、国際旅客便の貨物スペースを活用することで各社と提携を深め、旅客と貨物の2つの柱によって沖縄国際物流ハブが今後も「継続して発展することが可能」なモデルへと進化させていくとのことだ。

新モデルのネットワークの活用について

海外と国内地方都市を、沖縄を経由して結ぶ物流網の維持と発展

那覇空港と結ばれているANAグループの国内路線は20路線。

ANAは那覇空港に国際線を就航する各社と相互にスペース利用契約を締結し、那覇空港と国内各都市を結ぶANAグループの国内線と組み合わせ、「日本各都市から沖縄を経由した海外各都市」および「海外各都市から沖縄を経由した日本各都市」の物流を活性化させ、沖縄県の産業振興策である国際物流ハブの発展を支援していくという。

また、日本の各地方の優れた農水産品の海外への輸出拡大に、沖縄国際物流ハブを通じて貢献するとしている。

輸送ルートイメージ

沖縄発貨物の商品力強化

沖縄発輸出貨物を、国内線(沖縄-羽田)を活用し、首都圏(羽田・成田)からの出発便に搭載するルートにおいて、国内線・国際線における優先的な搭載や確実な保冷輸送を強化。

特に、農水産品が多く保冷の必要がある貨物が多い沖縄発の貨物において、保冷コンテナやサーマルブランケットを活用した輸送や経由地(羽田・成田)での確実な保冷蔵置を実施する商品を打ち出し、最高の品質での輸送を実現する。

また、提携する他航空会社と協力し、他航空会社便においても保冷品質の向上を図るとのことだ。