大日本印刷(以下、DNP)は、雑誌・書籍の読者に対する提供価値の拡大に向けて、デジタルメディアを軸としたビジネスモデル構築の支援サービスを出版社等に提供している。
今回、会員登録した読者が悩みや好みなどを登録し、それに対してマッチングエンジンが会員のパーソナルデータも勘案しながら「診断」を行い、会員一人ひとりに最適な記事を抽出して提供するサービスを開発したと発表した。
このサービスの第一弾として、ゴルフ専門出版社のゴルフダイジェスト社と協業して、ゴルファーの悩みや好みにあった最適な情報を提供する会員制サービス「Myゴルフダイジェスト」を立ち上げ。1月13日に無料版の提供を開始したとのことだ。
雑誌の発行部数の減少が続くなか、出版社はデジタルメディアを活かして生活者にさらなる価値を提供する取り組みに力を入れているという。
その一環として、出版社が自社コンテンツをWeb記事として提供する月額課金制(サブスクリプション)の会員サービスが拡大。しかし、同様のコンテンツが多いなかで、自社コンテンツの特長をアピールして差別化を図っていく必要があったとのことだ。
こうした課題に対してDNPは、会員となる読者が登録した悩みや好みのデータを基に、マッチングエンジンが多くの記事の中から最適な記事を抽出して提供する会員制サービスを開発したとのことだ。
なお、ゴルフダイジェスト社は、デジタルメディア施策として、「みんなのゴルフダイジェスト」「ゴルフへ行こうWEB」およびYouTubeチャンネル等を展開している。
しかし、同様のコンテンツに対し、付加価値面でどのように差別化を図るかが課題となっていたという。
DNPとゴルフダイジェスト社は協業を進めて、こうした課題に対し、ゴルファー1人ひとりに最適な情報をピックアップして提供する新たな会員制サービス「Myゴルフダイジェスト」を展開。
同サービスの特徴は以下。
- 「Myゴルフダイジェスト」は、ゴルフ雑誌業界No.1のゴルフダイジェスト社が発行する「週刊ゴルフダイジェスト」「月刊ゴルフダイジェスト」を中心とした豊富なコンテンツをWeb記事化し、読み放題とした会員制のサービス。
- 利用者は会員登録時に、年齢・性別・身長・ゴルフ歴・プレイスタイル等の情報を入力するほか、ゴルフに関する悩みを約100項目の中から選択。それに従って悩みを診断し、その診断結果を基にマッチングエンジンが読者に最適な記事を抽出するという。
- ゴルフをより楽しくプレーするため、「道具(ギア)」「うまくプレーする技術(テクニック)「どこで、誰と、いつラウンドするか(プレー)」の3種に分類したコンテンツを提供。会員は、ゴルフに関する自分の悩みや好みに合った情報だけを快適に閲覧することができる。
- コンテンツの閲覧履歴に基づいて、最適なコンテンツを表示するレコメンド機能も。
- 有料会員は、「週刊ゴルフダイジェスト」「月刊ゴルフダイジェスト」や同社が発行する一部書籍を電子版で読むことができる。
なお、同サービスは、2021年1月13日に無料で利用できる体験版のサービスを開始し、コンテンツを拡張して4月に有料サービスを本格的に開始する予定。会員費は月額720円(税抜)としている。
DNPはマイページ機能の開発とパーソナライズ対応の運用を、ゴルフダイジェスト社はコンテンツおよびWebサイトの制作をそれぞれ担当。
提供する記事はDNPが独自開発したシステムにより、雑誌記事からWeb記事に変換し配信するとのことだ。
今後の展開として、両社は、30~50代の熱心なゴルファー層をターゲットに「Myゴルフダイジェスト」を展開。会員同士のコミュニケーション機能や動画コンテンツなど、サービス内容を拡張しながら会員の満足度向上に努め、会員数拡大を目指すとしている。
またDNPは、多くの出版社とともに、出版コンテンツを継続的・多角的に活用していく「コンテンツ・ライフサイクル・マネジメント(CLM)」を推進。
パーソナルデータに基づく最適な記事提供を可能にする同サービスについても、オートバイやキャンプ、サーフィンなどのアクティブな趣味のジャンルに展開していく予定であるとのことだ。