ヤフーデータソリューションは、2021年1月8日から1都3県(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)を対象に、緊急事態宣言が再発令されたことを受け、対象地域の主要駅周辺における人出がどのように変化したのか、「DS.INSIGHT Place」 によって調査した結果を発表した。

この調査から、宣言発令後の対象地域の主要駅周辺の人出は、宣言前と比較して平均16%程度減少したことがわかったという。

また、駅別および年齢層別の分析から、遠方への外出ほど控えられる傾向にあることが示唆されたとのことだ。

今回の対象地域の主要な駅として「東京駅」「品川駅」「新宿駅」「渋谷駅」「横浜駅」「大宮駅」「千葉駅」周辺の来訪者について調査。期間は、2021年1月5日から1月10日となる。

なお、各エリアの来訪者数は、「DS.INSIGHT Place」のカスタムエリア機能で取得している。

主要駅の合計来訪者数の分析

まず、全体的な傾向を把握するため、7つの主要駅への合計の推計来訪者数を分析。

平日は多く、休日は少ないといった具合に曜日によって元々の来訪者数が異なるため、分析にあたっては以下のように定義した来訪者指数を利用している。

来訪者指数 = 推計来訪者数 ÷ 2020年1月の同曜日における推計来訪者数の平均値

主要駅の合計来訪者数から算出した来訪者指数の推移となる。

緊急事態宣言直後の2021年1月8日から主要駅への来訪者指数は減少していることから、緊急事態宣言を受けて外出自粛の動きが強まったと推察されるという。

宣言前の2021年1月5,6,7日と宣言後の2021年1月8,9,10日の合計来訪者指数を比較すると、平均で約16%、最大で約21%減少したとのことだ。

駅別の傾向の分析

次に、駅ごとに来訪者数がどのように変化したかを調査する。

以下は、駅同士を比較しやすくするために、各主要駅の2021年1月5日の来訪者指数が1となるよう正規化した駅別来訪者指数の推移となる。

どの主要駅においても、緊急事態宣言直後の2021年1月8日から主要駅への来訪者数は減少していることが見てとれる。

緊急事態宣言前後の3日間(2021年1月5, 6, 7日と8, 9, 10日)の平均来訪者指数を比較すると、来訪者指数の減少度合いが高かった主要駅は、東京駅で約21%と最も高く、次いで品川駅の約18%。

一方で、来訪者指数の減少度合いが低かった主要駅は、渋谷駅の約12%、続いて横浜駅の約13%となった。

このような差異を生じる要因として、駅の利用目的の違いが考えられるという。

来訪者指数の減少度合いが高かった東京駅・品川駅は、新幹線のターミナルであり、特に休日は遠出するために利用する人が多数だとのことだ。

対する渋谷駅・横浜駅は、遠出の起点として一定数使われるものの、買い物や飲食を目的とした利用者が比較的多いと推察される。

つまり、近場での外出を控えたこと以上に、遠方への外出を自粛した影響が大きかったでのはないかとしている。

この仮説を、来訪者の属性の観点からも考察。前述の4駅に関して、2020年1月の休日における来訪者の年代構成を算出したとのことだ。

20代以下の構成割合に着目すると、渋谷駅と横浜駅で特に高いことが見てとれる。

渋谷駅と横浜駅は、若者向けの大きな商業施設や飲食店が並び、休日に出かける際に若い世代がよく利用する街であることを反映していると考えられるとのことだ。

この結果からも、緊急事態宣言後の来訪者指数の減少度合いの差の要因の1つに、駅の利用目的の違いがあることが示唆されたという。

年齢層別の合計来訪者数の分析

前節までの結果から、年齢層別に自粛傾向の違いがあると考えられるという。

このことを確認するために、年齢層別の来訪者の推移を調査しました。以下のグラフは、主要駅合計の来訪者指数の推移を年齢層別に分けたもの。

なお、便宜上20, 40, 60代に絞りこんで掲載する。

来訪者指数は、緊急事態宣言の前後によらず20代, 40代, 60代の順に高いことから、若い世代ほど、コロナウイルス拡大前と近い頻度で主要駅を訪れていることがわかる。

また、緊急事態宣言後は、すべての年齢層で来訪者指数が減少しているものの、若い世代においては減少の度合いが緩やかであることから、若い世代は緊急事態宣言後も比較的外出する傾向にあることが推察されるとのことだ。

これが、20代以下の利用がよく見られる主要駅では来訪者指数の減少度合いが低かった一因であると考えられるとしている。

ヤフー・データソリューションでは、今後も新型コロナウイルス感染症対策やその影響の分析に役立てていただける調査レポートの発信を行っていく予定とのことだ。