塩野義製薬は、2020年内の臨床試験開始を目標に開発を進めてきた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)に対する予防ワクチンについて、国内第1/2相臨床試験を開始し、初回投与実施したと発表した。
同社が4月より開発に取り組んでいるワクチンは、グループ会社のUMNファーマが有するBEVSを活用した遺伝子組換えタンパクワクチン。
遺伝子組換えタンパクワクチンは、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に投与に供される。
遺伝子情報そのものを投与し、体内にて抗原タンパクを合成させるmRNAワクチン等の新規技術と比べて、抗原発現や精製に一定の開発期間を要するという。
一方で、BEVSを活用したインフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその効果と安全性を基に承認・実用化されている確立された技術だという。
これまでに、選択した抗原タンパクおよびアジュバントを用いた非臨床試験において、安全性と有効性を示唆する結果が得られており、冷蔵条件下での製剤中の安定性が一定期間確認されているとのことだ。
開始した第1/2相臨床試験は、複数用量の抗原タンパクおよびアジュバントの組み合わせからなる、200例以上の日本人成人を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験。
少人数での安全性・忍容性を確認する第1相パートおよび至適用量の検討を行う第2相パートにおいて、本ワクチンを3週間間隔で2回接種した際の安全性、忍容性ならびに免疫原性を、接種後1年間追跡評価する。
各パートの速報データは、2021年2月末より順次取得見込みであり、それらの経過や感染状況等を踏まえて、さらなる安全性確認のための追加試験ならびに第3相臨床試験の実施に関して、引き続き厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)等との協議・相談を進めていく予定とのことだ。