三井不動産は、街で暮らす人々に新たな体験価値を提供することを目的に、ヒト・モノ・サービスの「移動」に着目した「モビリティ構想」の一つとして、車両と店舗が一体となった「移動商業店舗」プロジェクトを始動させると発表した。
同プロジェクトでは、2020年9月から、首都圏・近郊5か所(豊洲・晴海・板橋・日本橋エリア、千葉市)において10業種11店舗の事業者とともにトライアルイベントを実施しており、ユーザーおよび出店事業者から好評を得ている。
同社は、これまで開発・運営してきた多様な不動産において、ユーザーが場所や時間帯により異なる買い物やサービスのニーズを抱いていることに着目。
なお、同プロジェクトは三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」により生まれた新規事業であるという。
移動商業店舗は、様々な不動産における出店可能な小規模スペースを活用し、曜日や時間帯毎の異なるニーズにピンポイントで応えるという。さらに、リアル店舗とECをつなぐシームレスな買い物体験のハブとなることを目指すとのことだ。
現在実施中のトライアルイベント終了後は、エリアやユーザーの特性に応じてさらに店舗バリエーションを増やし、出店場所を拡大していく予定。また、移動商業店舗の特性を生かし、従来なかった新たなコンテンツを創出し、多様化していく人々のライフスタイルに合わせた買い物体験を提供していくとしている。
三井不動産の移動商業店舗の特徴は以下。
同社は、オフィスや住宅などの多様なアセットの開発・運営を通じて、性別・年代・家族構成やライフスタイルはもちろん、ロケーションや生活シーンに応じた利用者の多種多様なニーズに深く触れている。
そうした知見を活用することで、場所や曜日・時間帯に応じて最適化されたコンテンツをピンポイントで提供可能。
また、移動商業店舗は投資が軽く、売上が期待できるエリアへ機動的に移動できるため、会社の規模によらず低リスクで参入が可能となり、多様な事業者や新たな業態の出店が期待できるという。
さらに、同社の豊富なアセットを活用することで、ニーズの強いユーザーが多く滞留するピークタイムを狙い、場所を移動し店舗売上を効率的に伸ばすことが可能とのことだ。
移動商業店舗は、通常の固定店舗とECの間を繋ぐことでユーザーがリアルとデジタルの垣根を超え、”どんな場所”でも買物ができるシームレスな買物体験を生み出すという。
出店事業者においては、第三のチャネルを持つことで、これまで以上に深くユーザーの嗜好性や購買行動を知り、関係性を深めることが可能になる。
なお、今回、2020年9月24日から12月20日まで首都圏・近郊において同社グループが管理するマンション4か所(豊洲・晴海・板橋エリア、千葉市)、イベント広場1か所(日本橋エリア)にて、飲食・物販・サービス10業種11店舗の移動商業店舗が出店している。
関係者からは、「様々なお店がマンションの近くに来ることで、便利なサービスによる生活利便性の向上と、豊洲にはない新しいお店との出会いにつながり、共働き・子育て等で忙しい居住者の楽しみの1つになりそうです」、「三井不動産のマンションで出店させてもらったが、想定よりも高い売上が出ました。新規顧客獲得にも繋がり、売上だけではなくプロモーションの観点でも出店の価値がある。今後も継続して出店させていただきたい」などの声が上がっている。
同社は、今回のモビリティ領域(MaaS、移動商業)への取り組みにより、以下のような価値創出に取り組むとしている。
アセット:ボーダレス化への対応
街づくり:街の魅力コンテンツの発見・アクセスの向上
体験価値:不動産をサービスとして利用(Real Estate as a Service)
この「移動商業店舗」プロジェクトを通じて、自宅やオフィスなどの身近な場所でリアルな買物を気軽にできる体験と、思いがけない魅力的なコンテンツ(店舗)と出会える体験価値の創出に取り組むとのことだ。
また、将来的には移動商業店舗に加えて、ホテルなど様々な移動式サービスに広げていくとしている。