noteは文藝春秋を引受先とする第三者割当増資を実施し、資金調達と資本業務提携契約を締結したと発表した。

同提携により両社共同でクリエイターの発掘と育成、コミュニティの創出や各種イベントの共催など、クリエイターの活躍の場を広げ、noteの「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ミッションの実現に近づけていくという。

具体的には以下のようなことを共同で進めていく予定としている。

1)クリエイターの発掘と育成
文藝春秋社の編集者とnoteディレクターらが定期的に情報交換を行い、出版文化の未来を担う有望な人材の発掘と育成を実施。また、note上でデジタル文芸賞・新人賞その他のコンテストを共同で実施することも目指す。

2)新たなコミュニティの創出やイベントでの協業
両社のネットワークや技術および知見を持ちより、クリエイターと読者・視聴者・観客等が相互に交流する新たなコミュニティを構築したり、イベントを共同開催。

3)社員交流の実施
文藝春秋社がデジタル面における技術・知識を習得し、note社が書籍や雑誌の編集技術を習得することを目的として、両社でそれぞれの社員が勤務する「社員交流」を実施。

4)新規事業に向けての展開
両社は、民間企業や公的機関に対しての有償サービスの提供など新規事業のための意見交換を行う。

noteのサービスがローンチされた2014年4月7日。創業者の加藤は約100年前に作家・菊池寛が創刊して多くのクリエイターを世に送りだした雑誌「文藝春秋」の立ち上げとなぞらえて、生まれたばかりのサービスへの思いをつづった。

その昔、菊池寛というクリエイターが、クリエイターによるクリエイターのためのメディアがほしいということで「文藝春秋」という雑誌を立ち上げました。

そして、たくさんのクリエイターが集い、作品を発表しました。

雑誌を続けていくと、作家ごとの作品がたまっていきます。それらをまとめたのが単行本、つまり「本」です。

「文藝春秋」からは、すばらしい本がたくさん生まれました。紙の時代は、クリエイターを集めたメディアとして雑誌があり、個人のためのメディアとして単行本があったのです。(加藤貞顕のnoteより)

それから5年半、2019年11月には「文藝春秋」が初のデジタル定期購読サービス開始にともない、サイト構築のパートナーにnoteを選択。「文藝春秋digital」が誕生した。

単にコンテンツをnote上で販売するだけではなく、noteで活躍するクリエイターを「文藝春秋」本誌の書き手に迎えたり、共同イベントを開催したり、noteというプラットフォームの住民たちと「文藝春秋」の関わりは深まっていったという。

そこから、さらに約1年。「クリエイターによるクリエイターのためのメディア」をつくる、と同じものを目指して始まった両社の関係をさらに強めて、さまざまな取り組みを行うために資本業務提携をすることになったとのことだ。