「大阪大学 歯学研究科・医学系研究科」発のバイオベンチャーElixir Pharmaは、研究成果を活用して、骨格筋の損傷・萎縮という問題を解決する世界初の医療用医薬品の発売を目指すことを発表した。

Elixir Pharmaのコア技術は、大阪大学歯学研究科・医学系研究科が研究開発した骨格筋の再生技術。

同発明は、大阪大学医学系研究科の濱田・松浦が細胞膜タンパク質の1つであるインテグリンのリガンドとしてSVペプチドを発見し、その機能として「心臓の機能再生能」を明らかにしたことを発端とするもの。

研究により、SVペプチドは心機能再生能を有していることを明らかにしたが、その投与方法が、現在の医療スタンダードに適さなかったために臨床応用を断念していた。

しかし、濱田は心筋と同じ横紋筋である骨格筋にも何らかの作用があると考えて、同大学歯学研究科の田中・古郷らとSVペプチドの共同研究を始めたところ、骨格筋の再生を促進する効果が明らかになり、Elixir Pharmaの創設に至ったとのことだ。

これまでの開発段階において投与経路や投与時期、投与量など様々な問題に直面しましたが、試行錯誤の結果、SVペプチドは、損傷(きず)した直後の筋肉に直接投与することで効果的に骨格筋の再生修復と機能回復を促進することが明らかになっているという。

Elixir Pharmaがターゲットとする疾患治療は以下のとおり。

①口唇口蓋裂による構音障害などの機能障害の改善
口唇裂・口蓋裂では、断裂した上くちびるや軟口蓋の筋肉(骨格筋)を乳児期に再構築する形成手術が必要となる。

手術による創傷(きず)は一部に線維化(しこり)を形成するために、筋肉の再生修復を妨げ、運動機能低下を引き起こし、構音障害を起こすという。

Elixir Pharmaは、本剤の開発を進めて、多くの患者に「より自然な笑顔と言語」をもたらせたく考えている。

②サルコペニアによる筋肉量の減少抑制
サルコペニアは、加齢などによる進行性の筋肉(骨格筋)の萎縮(減少)が起こる結果、歩行障害などの運動機能低下をきたすが、栄養療法や運動療法以外の有効な治療薬は発見されていない。

Elixir Pharmaは、本剤の開発を進めて、多くの患者に「より活動的な健康長寿」をもたらせたいと考えている。