ヤフーは、「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」は、全国の書店員の投票によるノミネート6作品の選出と、さらなる書店員の投票を経て、大賞受賞作品を佐々涼子さんの「エンド・オブ・ライフ」(集英社インターナショナル)に決定したと発表した。

「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞」は、同社の運営する日本最大級のインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」と、書店員が「面白かった」、「お客様に勧めたい」と思った本への投票で決定する「本屋大賞」が連携。

今回受賞した「エンド・オブ・ライフ」は、ベストセラー『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』の著者・佐々涼子さんが、こだわり続けてきた「理想の死の迎え方」に真っ正面から向き合ったものになっているという。

「エンド・オブ・ライフ」要約

「看取りのプロフェッショナル」である看護師の友人が病を得た。最期の日々を共に過ごす著者に見せた、友人の死への向き合い方は、意外なものだった。著者の難病の母、そして彼女を献身的に介護する父の話を交え、7年間見つめた在宅での終末医療の現場を綴る。

佐々涼子さんからのコメントは以下。

「7年前、在宅での終末医療の取材をするため私は京都の医療チームに同行しました。そこで見たのは、家で最期の時を過ごす人々の、奇跡のような命の輝きでした。
しかし、同時に戸惑います。私にも寝たきりの母を献身的に介護する父がいましたが、私に父のような介護ができるとは思えない。できないものを安易に称賛していいものだろうか。ノンフィクション作家として悩み、筆が止まります。


転機が訪れたのは今から2年前のこと。取材に協力してくれた訪問看護師の友人ががんに侵されたのです。彼が迷い、揺れつつも、運命と折り合いをつけ、すべてを受け入れる過程を見せてもらいながら、私は人生の本質に触れたような気がしました。彼が命がけで残してくれた言葉は、きっと誰に対しても大切な命のレッスンとなるでしょう。
書店員のみなさん、このたびはすばらしい賞をありがとうございました。読者を誰よりもご存じのみなさんに選ばれたことを誇りに思います」

書店員からの推薦コメント

「“死を受け入れる”ということが自分にできるだろうか。
自分の死はもちろん、人の死に対しても、受け入れ、向き合うことができるだろうか。
歳をとるごとに考えなければいけなくなる、できれば目を背けたいテーマですが、様々な人生の終焉を知り、私のなかで「死に対する不確かな怯え」が少し形を変えたような気がします。
著者の丁寧な取材内容と、それを見つめる著者の優しいまなざしが、最後まで私に寄り添ってくれたおかげです。読むことができて、よかった。」

また、他書店員からの推薦コメントや、読者の声を特設サイトに掲載しているとのことだ。

なお、ノミネート作品は以下となる。

  • 「エンド・オブ・ライフ」 佐々涼子/集英社インターナショナル
  • 「サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する」 梯久美子/KADOKAWA
  • 「女帝 小池百合子」 石井妙子/文藝春秋
  • 「聖なるズー」 濱野ちひろ/集英社
  • 「つけびの村 噂が5人を殺したのか?」 高橋ユキ/晶文社
  • 「ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち」 ブレイディみかこ/筑摩書