東芝グループは、脱炭素化や循環経済への対応などグローバルな視野に立った新たな長期ビジョンとして、「環境未来ビジョン2050」を策定したと発表した。
同社グループはこれまで、2007年に「地球と調和した人類の豊かな生活」をあるべき姿として描いた「環境ビジョン2050」を策定し、その実現に向けて活動を推進してきたという。
一方で、近年、パリ協定をはじめとする気候変動や資源の枯渇などの社会課題解決に向けた世界規模の動きや同社グループの事業ポートフォリオの転換など、同社グループを取り巻く状況は変化し続けている。
同社グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、かつ企業として持続的な発展をめざすためには、長期的な視点で世界の潮流に対応しながら、豊かな価値を提供し続けていくことが重要と考えているとのことだ。
新たに策定した「環境未来ビジョン2050」では、こうした状況の変化に対応するため、2030年度までに同社のバリューチェーンを通じた温室効果ガス排出量を50%削減(2019年度比)し、2050年に向けて社会の温室効果ガス排出量ネットゼロ化への貢献を目指す等、内容を発展させたとしている。
「環境未来ビジョン2050」は、「豊かな価値の創造と地球との共生をめざした環境経営を通じて持続可能な社会の実現に貢献する」ことを目的とし、持続可能な社会、すなわち脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現をめざすという。
2007年の前ビジョン策定時から取り入れている「バックキャスティング」の考え方を継続し、「気候変動への対応」「循環経済への対応」「生態系への配慮」の3分野への取り組みを推進。
「気候変動への対応」では、2050年に向けて社会の温室効果ガス排出量ネットゼロ化に貢献するため、2030年度までに同社のバリューチェーンを通じた温室効果ガス排出量の50%削減(2019年度比)をめざす。
なお、2050年度までには80%以上削減(2019年度比)することを目標としているとのことだ。
これはパリ協定に基づく日本の削減目標と整合する目標であり、パリ協定が描く未来の実現に向けて必要不可欠な取り組みであると考えているという。
同社グループにおける省エネ設備への投資や再生可能エネルギー導入拡大に加え、脱炭素・低炭素エネルギー技術や省エネ製品・サービスなど、社会における温室効果ガス削減に貢献する製品・サービスの創出や、適応策に関連したビジネスの推進にも注力していく。
2030年度の温室効果ガス削減目標については、科学的な根拠に基づく目標としてSBTの認定取得をめざすとしている。
「循環経済への対応」では、事業活動と製品・サービスの両面で資源の有効活用を進めるとともに、業界団体、行政、他企業などとの積極的な連携のもと、循環経済型ビジネスモデルへの転換を図る。
具体的には、事業活動における廃棄物量の抑制や使用済み製品・部品のリサイクルに取り組むほか、同社の注力ビジネスであるデジタル技術を活用したソリューションなどを通じ、循環経済型ビジネスモデルの構築をめざすとのことだ。
「生態系への配慮」では、世界各国の化学物質管理に関する政策・規制への対応や水資源の適正な管理、事業所内外での生物多様性保全に向けた活動を推進することにより、自然と人間が調和して暮らし、生態系からの恵みを享受し続けられる社会の構築に貢献。
これらの取り組みによって製品・サービスのライフサイクル全体における環境負荷低減を進め、持続可能な社会の実現に貢献するとし、事業と環境経営の一体化をめざし、現在推進している「東芝Nextプラン」が示すビジネス戦略と整合する形で、注力事業における環境貢献施策などを積極的に展開していくとしている。
また、東芝グループの経営理念「人と、地球の、明日のために。」の考えに基づき、「豊かな価値の創造」と「地球との共生」の両立をめざして、環境経営をより一層深化させていくとのことだ。
東芝グループは、インフラサービスカンパニーとして社会に提供する信頼性の高いサービスと最先端の技術で、気候変動をはじめとするさまざまな社会課題解決に貢献し、さらなる企業価値向上を図る。
企業として持続的に発展するため、倫理的で透明性のある経営基盤の構築にむけて、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の強化に努め、さまざまなステークホルダーの皆様と連携しながら、豊かな価値を創造し、提供していくという。
そして、SDGsの特に10のゴールに注力し、各ゴールに対するポジティブ・インパクトの最大化とネガティブ・インパクトの最小化に取り組み、すべての企業活動を通じてSDGs達成に貢献するとのことだ。