誰もが利用しやすい新たな移動サービスの提供と、持続可能なまちづくりの実現をめざす地域コンソーシアム「静岡型MaaS 基幹事業実証プロジェクト」は、地域の住民の暮らしの利便性を最優先にした新たなモビリティサービス(MaaS)の導入に向け、11月1日から 2020年度の実証実験を開始すると発表した。

実験開始にあたり、静岡型 MaaS 基幹事業実証プロジェクト、日本ユニシス、静岡鉄道では、同実験で使用するMaaSアプリ「しずてつ MapS!(マップス)」をリリースする。

実験概要は以下になる。

①自家用車運転スコアリング、データ取得

自家用車を運転される方に、運転データを取得できる機器を無償で貸与し、車内のシガーソケットに挿してそのまま運転してもらう。装着されたデバイスから運転技術を確認できる運転スコアが算出され、月に1度スコアリング報告書を参加者に送付する。

安全運転の啓発、また多様なモビリティデータの取得・分析・可視化を通じて、データ利活用の可能性を探るとともに、交通・まちづくりの施策へ活用することを目的としている。

②AIオンデマンド交通「草薙のりあい号」「庵原のりあい号」運行

AIオンデマンド配車システムを用いて、乗降場所を自由に決められるタクシーの良さと、乗り合うことで安価に運行できるバスの良さを組み合わせた旅客サービスで、ファースト・ラストワンマイルを補完する。

また、移動サービスの新たな収益源としての可能性を検証するため、「草薙のりあい号」「庵原のりあい号」を活用した商品宅配サービスを実施し、客貨混載サービスの需要・課題を把握する。

AIオンデマンド交通サービスの運行による交通サービスの利便性向上、また旅客と貨物(宅配物)を混載することでコロナ禍における宅配ニーズに対応し、車両の有効活用・収益ポケット化の可能性を検証する。

③静鉄電車 リアルタイム混雑情報提供・デジタルクーポン発行

静鉄電車の主要5駅(新静岡駅、県総合運動場駅、草薙駅、狐ヶ崎駅、新清水駅)のホームにセンサーカメラを設置して、リアルタイム混雑状況と過去の利用状況から算出した快適乗車予報(混雑予測情報)を、しずてつ MapS!、主要5駅の駅構内に設置するデジタルサイネージ、しずおか MaaSホームページにて提供する。

また、駅利用者は、静鉄電車の主要5駅の駅構内に設置するデジタルサイネージに表示された二次元バーコードを、しずてつ MapS!で読み込み、デジタルクーポンを取得。協力店(飲食店・小売店等)で支払時にクーポン画面を提示して利用してもらう。

with/after コロナ社会を見据えた、公共交通機関における混雑回避を促し、乗客が互いに快適に利用できるようにし、また、混雑予測に応じ、電車の空いている時間帯に、よりリーズナブルになる商業クーポンを配布することで、公共交通機関の混雑回避とまちなかの賑わいづくりの両立を目指すという。

今年度は複数の実証実験をとおして、社会課題の解決や次世代の交通・まちづくりへの基礎情報を集約し、交通サービスの利便性向上・データ利活用の可能性を探るとともに、with/after コロナ社会を見据えた地域交通のあり方や働き方会改革を促すような取り組みをめざしている。

なお、同プロジェクトは昨年に引き続き、2年連続で国土交通省・経済産業省が行う事業に選定されているとのことだ。