富士通は、ニューノーマル時代における、製造業のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)加速に向けたものづくりのソリューションおよびサービスを拡充し、2020年11月よりグローバルに順次提供を開始すると発表した。

昨今、市場のグローバル化による競争激化、厳しい品質要求への対応、人材不足などの製造業を取り巻く環境の変化に応じ、マスカスタマイゼーションやものづくりのサービス化などへの対応が求められている。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により、製造業においても、サプライチェーンの分断、テレワークの限界による業務停止、感染者発生による事務所閉鎖など緊急事態が生じているとのことだ。

さらに、ニューノーマル時代では、サプライチェーン分散化、ものづくりの自動化・省人化、設計・開発業務や生産追跡・遠隔作業のリモート化などの新たなものづくりへの挑戦が必要不可欠となっている。

同社は、従来取り組んできた「COLMINA」のソリューションに加え、製造業のDX加速を支援するため、新たなものづくりソリューションの提供を開始するとのことだ。

今回拡充するソリューションおよびサービスは、製造業の生産オペレーション効率化、製造設備の稼働状況可視化、設計・開発業務の高度化などを実現する、以下の4つ。

1.製造業のDXを加速するためのサービス、ソリューション「COLMINA(コルミナ)」のサブスクリプションサービス

製造業向けにこれまでに提供してきた「COLMINA」のソリューションをサブスクリプションサービスとしてグローバルで提供。

クラウドサービス「デジタルユーティリティクラウド」を活用し、生産オペレーション効率化や工作機械の効果的活用を実現する設備稼働の可視化、工場ダッシュボード、生産性・品質の分析テンプレート群などを当社サービスとして提供するという。

従来、製造業各社が個々に構築しているものづくり業務システムをサブスクリプションサービスとして提供することで、様々な業務システムを早期に初期投資を抑えて利用することができ、社内業務の効率化、顧客サービスの高度化、さらにはDXの加速に貢献するとのことだ。

2.グローバルで高いシェアを持つシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの「Xcelerator」や米アルテア社の「Altair HyperWorks Unlimited Virtual Appliance」からなるリモート設計・開発を支援するソリューション

「Xcelerator」は、異なる場所やデスクトップ環境にいるエンジニアのチームが、クラウド上でCADも含めた設計業務を共同で進めることができる、プロジェクトコラボレーションサービスなどのソリューション群。

テレワークで別々の場所に分散して作業するなど、設計開発環境の変化にも柔軟に対応したセキュアなリモート製品開発を支援するとともに、円滑なコラボレーションを可能にし、従来の製品開発環境と同等以上の製品品質を実現する。

「Altair HyperWorks Unlimited Virtual Appliance」は、製品開発に必要なCAEや構造シミュレーションといった様々な解析を行うためのソフトウェア群と、その計算を行うためのクラウド環境がセットになったサービス。

リモートワークでのデジタル製品開発や、事業継続に向けた突発的な品質検証などを行えるようになり、製品開発リードタイムの短縮、製品品質の向上を図ることが可能となるとしている。

3.双方向かつリアルタイムのリモートコミュニケーションでものづくり現場の改善活動を支援するものづくり現場リモートエキスパートサービス

地理的な制約を受けることなく、実践経験豊富なエキスパートが生産状況の数値データや現場動画などのリアルタイム情報とICT技術を活用し、作業内容や順序の見直しによる作業効率化や工程やレイアウトの見直しによる在庫削減・省スペース化など、ユーザーの生産性向上やコストダウンを支援。

4.グラフィックスを多用する3D-CADやCAEなどのアプリケーションをクラウド環境で利用可能にする「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA Design Review 高速リモートデスクトップ」

ニューノーマル時代における設計者リモートワーク用仮想デスクトップソフトウェア。3D-CAD、CAE、映像やコンピュータグラフィック編集などの高画質領域でのスムーズな操作ができ、専用ワークステーションが必要ないという。

富士通研究所が開発した技術「RVEC」を利用し、描画するための通信データを従来比2分の1に圧縮し、低速回線でもより高精度かつなめらかな画像を転送することができ、従来と同等の描画が可能になる画面コラボレーション機能によって、設計者・工場間等の複数拠点が参加するデザインレビューも円滑に行うことができる。

同社は、日本・ドイツ・北米をものづくりソリューション開発および機能強化の中心拠点として位置付け、今後、日本、欧州、北米、アジアへサービス提供を行っていくという。

また、クラウドロボティクス市場における新たなサービス創出や、PLMおよび工場の生産ラインで設備や作業者の作業を監視・管理するシステムであるMES領域におけるものづくりCPS化に向けた、製造業の上流の設計から下流の製造現場までのデータをシームレスに繋ぎ、分析して自律的改善を実現する新たなサービス提供を計画。

さらに、グローバルにおいて高いシェアを持つ海外ベンダーとの協業も強力に進めていくとのことだ。