凸版印刷は、総務省の委託研究「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」を6月9日より実施している。

今回、同社は、WEB上で定型文を選択することで連絡内容を多言語で通知する「多言語WEB連絡帳システム」を教育機関向けに開発し、2021年1月から2021年2月末まで実証実験を行うことを発表した。

同システムは、教員が保護者への連絡を行う際、WEB上で送信先と定型文を選択すると保護者があらかじめ登録した言語で連絡内容を一斉にメールで送信。これにより、教員と外国人児童の保護者とのコミュニケーションを支援することを目指すとのことだ。

なお同実証の実施に伴い、同実証に参加を希望する教育機関を2020年10月から2020年12月まで、募集するとしている。

現在、日本社会における急速なグローバル化の進展に伴い、教育機関では在籍する外国人児童は増加傾向にあり、その国籍も多様化している。教員は外国人児童およびその保護者との意思疎通が難しいことが大きな課題となっているという。

凸版印刷はこれまで「VoiceBiz」をはじめ、在留外国人との多言語コミュニケーションを支援する多言語音声翻訳アプリを展開してきた。

今回、教育機関向けにWEB上で連絡内容を多言語で通知することが可能な「多言語WEB連絡帳システム」を開発。教育現場において在留外国人児童の保護者と教員の間にある、言葉の壁をなくした教育環境の実現を目指すとのことだ。

同システムの特長は以下。

同システムは、教育現場において急増する在留外国人児童の保護者と教員のコミュニケーションを支援する多言語連絡支援システム。教員はPC端末やタブレット、スマートフォンのWEBブラウザ利用し、保護者に対し連絡内容を9言語でメール配信することが可能。

翻訳可能な言語は、日本語/英語/中国語(簡体字)/ベトナム語/ポルトガル語(ブラジル)/スペイン語/フィリピン語/ネパール語/ウルドゥー語。

実証は、前述の通り2021年1月から2月末に実施。2020年10月から12月まで募集するという。対象機関は、小学校、中学校および保育所等の教育機関とし、費用は無償とのことだ。

同社は今後、同実証実験の結果をもとに教育現場における多言語コミュニケーションの支援をはじめ、外国人の受け入れを行うおもてなし事業者や在留外国人の増加が見込まれる自治体・医療機関などの分野に向けサービスの拡充を目指すとしている。

また、将来的には、同システムにAI翻訳技術を活用し、フリーワードに対応したテキスト翻訳を搭載予定であるとのことだ。