理化学研究所(理研)と富士通が共同で開発しているスーパーコンピュータ「富岳」が「MM総研大賞2020」において、「大賞」および「ものづくり優秀賞」を受賞した。

富岳は、スーパーコンピュータ「京」の後継機。

2020年代に、ますます複雑化する社会のさまざまな課題の解決やサイエンスの探究を通じて日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とした、電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAIの加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータとして2021年度の共用開始が目指されている。

今回受賞したMM総研大賞は、MM総研がICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけづくりを目的として2004年7月に創設。

優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰する制度で、今回が17回目となる。

富岳は、世界のスーパーコンピュータの性能ランキングである第55回「TOP500」で第1位を獲得したほか、「HPCG」、「HPL-AI」、「Graph500」の各性能ランキングにおいても2位以下に大きな差をつけての第1位を獲得し、同時4冠を達成している。

今回のMM総研大賞2020では、富岳が利用者視点に立った設計思想の基に開発され、国内ではすでに新型コロナウイルスの対策研究にも活用されるなど今後の活躍が期待できる点が高く評価されたという。

また、圧倒的な性能や電力効率、汎用性を持つCPUなど、日本の高い技術を結集させたスーパーコンピュータが世界に大きなインパクトを与えた点も高く評価されたとのことだ。

現在、富岳は、2021年度の共用開始を目指して開発・整備中だが、試行的に一部の計算資源(ノード)は新型コロナウイルスの対策研究や成果創出加速プログラムで利用されている。

理研は、今後も「富岳」の開発・整備を推進し、富岳による社会的・科学的課題の解決に貢献していくとしている。

一方、富士通は、今後、富岳の技術を活用した「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC」シリーズをはじめとするハイパフォーマンスコンピューティング・ソリューションの提供を通じ、社会的課題の解決や最先端研究の加速、およびユーザーのDX実現による競争力強化に貢献するとしている。