電通は、東京工業大学(以下、東工大)生命理工学院の研究グループ、東工大発ベンチャーのLogomixなどと共同で、産業微生物のゲノム構築を推進する産学連携プロジェクト「細菌ゲノムアーキテクトプロジェクト(以下、BGAP)を開始したと発表した。

BGAPは世界的には、酵母全ゲノム合成を進めるSc2.0(酵母ゲノム合成コンソーシアム)、ゲノム合成技術の国際協調を進めるGP-write(ゲノムプロジェクト・ライト)、中国で発足したGP-write Chinaなどに続く統合組織ですが、特定の生物種のゲノム構築を目指す国内初の産学連携合成生物学プロジェクト。

その第1弾として「大腸菌人工ゲノム構築」を推進する。大腸菌は、プラスチック、薬、燃料などさまざまな物質生産に用いられている産業微生物の代表種のひとつとなっている。

この大腸菌の産業有用性をさらに高めるべく、これまでにない新しい設計原理に基づいた大腸菌ゲノムを、東工大すずかけ台キャンパスに今秋に新たに設置される合成生物学ファウンダリーを活用して構築し、この人工ゲノムで生育する人工大腸菌株を創出するとのことだ。

テクニカルアドバイザーとして、ニューヨーク大学遺伝システム研究所のJef Boeke所長(教授)を筆頭に、国内の微生物研究の第一人者も参画。

また、産業界からは同社の他、以下6社が同プロジェクトに参画し、新事業シーズの探索、バイオ・非バイオの範疇を超えたさまざまな産業セクター間での産学連携ネットワークの構築、新バイオ産業創出に貢献する細胞ゲノム構築技術の成熟化を進めるという。

参加する予定の6社
・ヤマト科学
・長瀬産業
・みらい創造機構
・日立製作所
・大阪サニタリー
・日立ハイテク

電通は、創設メンバーとして本プロジェクトに参画し、ゲノム構築技術がもたらす未来のビジョンや可能性、活用例などを描くことで、BGAPの拡大・発展に寄与していくとのことだ。

加えて、同社が開発した”どのようにゲノム構築技術を各種ビジネスに応用できるか”を診断するメニューツールなどを活用しながら、バイオエコノミー産業が世界をけん引するこれからの時代の、全く新しい事業共創の形態を顧客企業や社会に提示していくとしている。