INDEX
デザインワン・ジャパンが運営する中小事業者の調査・研究開発部門「エキテン総研」は、全国の店舗関係者に対して「中小事業者におけるキャッシュレス決済導入実態調査・第三弾」を実施したと発表した。
同調査は2019年7月、12月におこなったキャッシュレス決済導入実態調査の追加調査で、9月に開始されるマイナポイント事業を前に、中小事業者においてキャッシュレス決済の運用実態を調査したものとなっている。
調査結果は以下のとおり。
- 「キャッシュレス決済が感染症防止策となった」と半数ちかくが回答
- キャッシュレスの悪い点は「売上が現金化するまでのタイムラグ」
- キャッシュレスを歓迎するのは約4割
- キャッシュレス決済歓迎理由は「感染防止策になるから」
- 8割以上の店舗が「キャッシュレスの手数用を懸念」
- 「キャッシュレス導入する気はない」が約6割
- キャッシュレス導入障壁は「加盟店手数料」「導入コスト」「運用コスト(端末)」
- キャッシュレスをやめた理由は「加盟店手数料の負担」
「キャッシュレス決済が感染症防止策となった」と半数ちかくが回答
キャッシュレス決済を導入して良かった点として、「新型コロナウイルスの感染防止策となった」と半数近くの店舗が回答した。
新型コロナウイルスは付着したものに触れても感染するといわれているため、現金のやり取りではなく非接触型決済の利用が感染防止策として多くの店舗から一定の評価を得ていることがわかるという。
政府が発表した「新しい生活様式」の中にも、「キャッシュレス決済を利用」という項目が記載されており、withコロナのニューノーマルとして、キャッシュレス決済の定着がうかがえるとしている。
キャッシュレスの悪い点は「売上が現金化するまでのタイムラグ」
一方、キャッシュレス決済を導入して悪かった点として、「売上が現金化するまでのタイムラグが発生した」と回答した店舗が半数以上となった。
QRコード決済は、売上金の入金サイクルが最短で翌日のものもあるが、決済ブランドや売上確定処理のタイミングによっては翌月末、もしくは翌々月末に入金するものもあるため、このタイムラグにデメリットを感じている店舗が多くいることがわかるという。
キャッシュレスを歓迎するのは約4割
中小事業者においては、6割以上の店舗がキャッシュレス決済を導入しているにも関わらず、そのうち利用を歓迎しているのは半数に満たない結果となった。
キャッシュレス決済歓迎理由は「感染防止策になるから」
ユーザーのキャッシュレス決済利用を歓迎する、と回答した店舗は、導入して感じているメリットと同じように、「新型コロナウイルスの感染防止策になるから」と回答した店舗が多数となった。
前回の調査では、「キャッシュレス事業者によるキャンペーンでの集客増」・「キャッシュレス・ポイント還元事業による利用客増」などを期待してキャッシュレス決済を導入している店舗が半数近くにのぼったが、今回の調査では、マイナポイント事業が始まることを理由にキャッシュレス決済利用を歓迎する、と回答した店舗は1割程度となったとしている。
8割以上の店舗が「キャッシュレスの手数用を懸念」
キャッシュレス決済を導入しているにも関わらず、ユーザーのキャッシュレス決済利用を歓迎しない、もしくはどちらともいえないと回答した店舗は、8割以上の店舗が「手数料などで利益が減ってしまうから」と回答。
キャッシュレス決済導入拡大のために各社条件付きで手数料無料キャンペーンなどを実施して導入店舗を増やしたが、すでに手数料がかかるようになってきている決済ブランドもある。
ユーザーの利便性が向上したり、コロナ対策となることは良いことですが、売上規模の小さな中小事業者においては、売上金に対し手数料がかかってくるのは大きなデメリットになるとしている。
「キャッシュレス導入する気はない」が約6割
キャッシュレス決済を導入していない店舗に対して今後の導入意向を聞いたところ、「導入する気はない」が55.9%という結果に。一方、40%は導入について一定程度、前向きな意向を示している。
少数ですが、「一度は導入したが、やめた」と回答した店舗が4.2%となり、前回の調査から1ポイント増えた。
キャッシュレス導入障壁は「加盟店手数料」「導入コスト」「運用コスト(端末)」
キャッシュレス決済導入の障壁としては、「加盟店手数料」「導入コスト」「運用コスト(端末)」が多数を占め、前回調査と同じ結果となった。
キャッシュレスをやめた理由は「加盟店手数料の負担」
キャッシュレス決済を一度は導入し、やめた、と回答した店舗に理由を聞くと、「加盟店手数料の負担が大きかったから」「思ったよりも集客につながらなかったから」と回答した店舗が多数。
加盟店手数料の負担については、前述の設問で多くの店舗が感じているデメリットと同じになった。キャッシュレス決済を導入しても集客につながらなかった理由としては、オリンピックの延期や訪日外国人の減少なども少なからず影響しているのかもしれないとしている。
■調査概要
調査名:中小事業者におけるキャッシュレス決済導入の実態調査・第三弾
対象者:店舗の口コミ・ランキングサイト「エキテン」に掲載中の全国の店舗経営者および集客・販促担当者
回答数:3,175
調査時期:2020年8月7日~2020年8月11日
調査方法:インターネット調査
調査機関:エキテン総研(デザインワン・ジャパン)
- <参照元>
- デザインワン・ジャパン『9月開始のマイナポイント事業には期待薄。感染予防対策としては一定の評価も-
中小事業者におけるキャッシュレス決済導入実態調査・第三弾を実施』